赤瀬川原平のパロディーとユーモア
これまでデザインに関して、たくさんの人やものから影響を受けてきました。その中でもデザインに対する態度で最も影響を受け、今もたびたび思い出すものがあります。それは、前衛芸術家の赤瀬川原平が1970年代に週刊誌『朝日ジャーナル』(朝日新聞社)で連載していた『櫻画報』です。
デザインの見方
『BOTTOM ASH OBSERVATORY』は、家庭ゴミや産業廃棄物を焼却して残った灰の調査結果をビジュアルで紹介する、クリスティン・メンデルツマさんの作品です。オランダのアーティストでデザイナーのメンデルツマさんは、ほかにも一頭の豚から生産される製品を調査した『PIG 05049』という作品も発表しています。豚が屠殺された後、どんな原材料や製品になるか追跡調査した内容で、ソーセージや石鹸、オイルなど、180以上のアイテムになったと伝えています。
調査は、バケツ1杯の灰をふるいにかけることから始まります。ふるいの網を徐々に粗くしていき、灰の中にある物体を見せていく。さらに、灰の中に含まれているマテリアルを抽出して分類し、セラミックやアルミニウム、真ちゅうなどが何グラム含まれていたかといった情報も掲載しています。最後の章では、分類したマテリアルを1つの形に戻していく。それを見て、灰を分類する技術が普及すれば、明るい未来が待っているような気持ちになりました。
この本の魅力は、ゴミの灰に関してまったく知識のない私でも、灰の中に豊かな資材が含まれているという事実を容易に理解できることです。なおかつ、写真とわずかなテキストのみで構成され、レイアウトが非常に美しい …