9年で日本酒の海外売上げが44倍。楯の川酒造の世界戦略を牽引するのは、グラフィックデザイナー出身のマーケターだ。「お酒はメディア。ストーリーが大事」と語る砥上将志さんは、仏ロックバンドとのコラボなど、独自の試みで市場を開拓している。
デザイナーが日本酒業界へ転身
1832年に創業した楯の川酒造が海外売上げを急増させている。その立役者が、2010年に楯の川酒造に入社した砥上将志さんだ。砥上さんは日本IBMでデザイナーとして働いた後、海外に留学。米ニューヨーク、カナダのトロントに数年間滞在し、日本酒業界へと転身したキャリアを持つ。
「本来、デザインとは社会課題を解決するための手法です。私がなぜ海外に留学したのかというと、クライアントの依頼を受けて、外見的なモノのデザインをする仕事に限界を感じたから。デザイナーとして活躍の場を広げたいと考えました。そして、海外で暮らしてみたら、日本の良さに改めて気づいた。『日本のためになることがしたい』と思って、帰国することを決めました」 …