銀座の「ポーラ ミュージアム アネックス」で、11月17日から12月24日まで「ケの美」展が開催された。「あたりまえの中にある『美』」を掲げたユニークな展覧会で、ディレクターを務めたのは佐藤卓さん。どんな意図を込めたのか、話を聞きに行った。
「日常に潜む美とは何か」を問う
展覧会の2カ月ほど前、たまたま佐藤さんから「ケの美」展の話を聞き、「『けのび』って何ですか?」と即座に聞き返してしまった。すると「『ハレとケ』の、『ケ』の美しさという意味です」という言葉が──そこではじめて、「けのび」という音と、「ケの美」という文字が結びついた。
「ハレ」とはいわば"非日常"で、華やかな祝いごとや特別な思いを込めたイベントを指す。一方で「ケ」とはいわば"日常"で、日々営まれる当たり前の暮らしに根ざすもの。「ハレの舞台」、「ハレ着」、「ハレの日」といったように、「ハレ」という言葉はたくさん使われるが、「ケ」という言葉が単体で使われることはほとんどない …