「POOL」は、「ためてつなげるものづくり」を掲げたイデーのプロジェクト。この秋「POOLとしょうぶ学園」と題したイベントを行い、今後も続けていくという。このプロジェクトを率いるイデーの大島忠智さんと、minä perhonenのデザイナーである皆川明さんの話を聞いた。
"POOL=ためる"、"LOOP=つなぐ"
「POOL」は、大量に生産される素材を無駄なく使い、ものづくりの過程で出るハギレや端材、キズ・汚れなどで販売できない商品を「ためて」、企業やクリエイターと「つながり」、新たな価値のある「ものづくり」をしていくプロジェクト。2014年にスタートして以来、着実に広がり、進化を遂げている。全体の監修を担うのは皆川明さんだ。
そもそもは、無印良品のものづくりの過程で、たとえばボックスシーツを1枚作ると、約25cm角のハギレが4枚出るのだが、その生産量が多いので大量に。ハブラシスタンドの場合は、検品を経ると、小さな黒点があるなどの理由で撥ねられる商品が年間にすると万単位で出る—それらを何とかできないかと、皆川さんに相談したことから始まった。
そして2014年に立ち上げたのが「POOL」。「ブランド名に"POOL=ためる"、"LOOP=つなぐ"という2つの意味を込めました」と皆川さん。人が腕で輪を作って手をつないでいるマークに、「ためる」と「つなぐ」が象徴的に表現されている。
前述したボックスシーツのハギレは、刺繍やプリントを施してハンカチに仕立て直す。ハブラシスタンドは、黒点の部分に柄を重ねてそのままといったように、手を加えて商品にしたところ、反応が良かった。続けるうちに、無駄を削ぎ落したものを旨とする無印良品より、本来の意図にそぐうのはイデーではということから、「2015年から受け継いで進めることになったのです」と、イデーでPOOLのプロジェクトを担当する大島さん。以来、皆川さんと一緒に、さまざまな企業やクリエイターたちとものづくりを続けてきた。
「しょうぶ学園」の創造性が確かな価値を
さて、「しょうぶ学園」とはどのようなコラボレーションを行ったのか。「しょうぶ学園」は、鹿児島市にある知的障害者の支援施設で、130名ほどの利用者と100名ほどのスタッフが生活しているところ。園内には、木、土、布、紙の工房が備えてあって、どの工房で活動するかは入所時に工房体験を行い、利用者と活動がフィットする場所を探る。利用者は木を彫る、刺繍する、絵を描く、接客するといったように、豊かな個性を備え、強いエネルギーを持った創作活動が数多く生まれている …