生活者アンケートから探る 動画は本当に見られている?
企業、自治体での動画配信は増えている。しかし、テレビCMと違い、能動的に見にいかなくてはいけない動画。生活者はどのように見ているのだろうか。生活者約1000人に行った動画についてのアンケートを見てみる。
話題になる・拡散される動画は何が違うのか?
昨年、「ティーンが選ぶトレンドランキング2015」(マイナビティーンズ編集部調べ)が発表された。その中で、フジテレビの月9ドラマ『恋仲』、「双子コーデ」、「双子ダンス」に続いて、「2015年流行った“コト”」に選ばれたのが、「シーブリーズ蓋交換」である。
シーブリーズのキャップを交換して使い切ると、恋がかなう――。こんな恋のジンクスが10代の間で広まり、実際にキャップを交換し、SNSにアップする人が次々と現れた。このジンクスの発端となったのは、昨年4月3日に公開された「ぼくとわたしの。SEA BREEZE」だ。
エフティ資生堂の「シーブリーズ」は毎年、旬の女性タレントを起用し、“汗と青春”をテーマにCMを制作している。「10代が憧れるシチュエーションで、見ている人が思わず恥ずかしくなるくらいの王道の青春を堂々とやる、これがシーブリーズのCMの鉄則です」と、電通 中川賢太さん。従来のCMでは女性一人をメインに立てていたが、昨年エフティ資生堂から「男性の使用率を伸ばしたい。男女どちらが見ても成立するCMにしてほしい」という話があった。オンエアの約1年前に人気上昇前だった広瀬すずさんと中川大志さんを起用し、男女を1対1の構造で見せることができるストーリーを企画した。
CMは、テニス部に所属する2人のやりとりを通して、恋の予感を感じさせるストーリー。そしてこのストーリーをベースに、「シーブリーズWサイドストーリー」と題したオンラインムービーも制作した。「Wサイドストーリー」は中川さん主演の「BOYS Side」、広瀬さん主演の「GIRLSSide」で構成される。これは同じストーリーのもと、それぞれの視点で描かれた映像が並列に用意されており、視聴者はどちらか好きな方を選んで見ることができる。途中で切り替えることも可能だ。最後まで見ると30分近いコンテンツだが、「離脱する隙を与えない仕組みにしました」と電通鈴木瑛さんは話す。それは、「Wサイドストーリー」が、スチールとムービーの組み合わせで構成されていることにある。
開始からしばらく続くのは、スチールで構成されたストーリー。漫画のようにセリフが表示され、写真がどんどん切り替わりながら進む。そして、ある程度のところに行くと、ムービーが始まる。それが終わると、またスチールに、という流れで進んでいく。スチールとムービーが一つの物語としてつながっているため、視聴者は必然的に順を追って見ることになる。
その中に出てくるのが「キャップ交換」のシーンだ。男女一緒にシーブリーズを使ってもらうことは、今回のキャンペーンの目標でもある。一緒に使うところを見せるのは必須だった。そのキーアクションとして、10代が憧れるシチュエーションの中で見せたところ、驚くべき早さで浸透していった。「こちらから仕掛けていくというよりも、彼らが面白い、いいな、自分もやってみたいなと思ってくれるものを、差し出すスタンスが大事。今回はCM発表会後 ...