私的に好き、でいいのかも。
オタク気質じゃないことが、コンプレックスです。何の疑いもなく好きな物をまっすぐに好きと言えて、熱く語れる人はかっこいいし羨ましい。かたや自分には趣味らしい趣味もなく、推しらしい推しも特にない。「いちばん好きな◯◯」みたいな質問に答えることにも苦痛を感じて生きてきたので、コピーを3つ選んでよい今回は、いくらか気持ちが楽でした。
東日本旅客鉄道/1993年
○C/太田恵美
サントリー「オールド」/1988年
○C/小野田隆雄
サントリー「オールド」/1994年
○C/小野田隆雄
「恋は、遠い日の花火ではない。」オールドのCMが流れていたころ、僕は青森の田舎の高校生でした。飲めもしないウイスキーなのに。自分とは年代の違う男女のストーリーなのに。そのコピーが好きでした。酒が飲めないからこそ、まだ見ぬ大人の世界に憧れたのかもしれません。ウイスキーのかわりにリンゴジュースなどを飲んで悶々としていました。
その後、上京して大学に入ったものの、友達は少なくお金もなく、大学時代は旅行した記憶が一度しかありません。友人たちとの貴重な旅の行き先は京都でした。まさに「そうだ 京都、行こう。」という言葉のような、思いつきの旅行だったような気がします。あの名コピーがなければ、その一度の旅行さえなかったかもしれません。
大学四年になってもまともに就職活動しない僕を見かね、京都にも一緒に行った足立くんが『コピー年鑑』というぶ厚い本を紹介してくれました。短いのに心に刺さる言葉の数々、短い言葉を書けばメシが食える …