暗闇に浮かぶスティックコーヒーのパッケージ。その中では、「ちょっと贅沢な珈琲店」がつくられている。豆を炒り、フリーズドライし…。できあがったスティックコーヒーがつくられていた場所は?
手の痕跡が残る映像
「最初に浮かんだビジュアルが、大自然の中で浮いているスティックでした」と話すのは大久保篤史さん。今回、兄の大久保雅人さんと二人で、AGF「ちょっと贅沢な珈琲店」の映像制作にあたった。
普段はモーショングラフィックやCGの仕事が中心の二人。今回の制作にあたっては、「技術によるのではなく、自分たちの手の痕跡が残るものにしたい」と考えた。「それは自分で袋を開けて、自分で入れるスティックコーヒーにも通じること。そうしてコーヒーを入れる時間こそ“贅沢な時間”といえるのではないかと思いました」(雅人さん)。
そして二人が選んだ手法が、コーヒースティックに映像を投射するプロジェクション。コーヒー豆からスティックコーヒーに至る製造プロセス、そしてお湯を注いでコーヒーができあがるまでを映像にした。「僕らも話を聞くまで、スティックコーヒーがどのようにつくられているのか、知りませんでした。いまはなんでもCGでできてしまう時代だから、商品がすごい技術力でつくられていることはなかなか伝わらない。そのプロセスを少しひもとくことができればと考えました」(篤史さん)。豆を炒るシーン、粉が落ちるシーンなど、ひとつ一つ手を動かしながら実際に撮影した。そして、それらのシーンをつないで映像として編集。それを海に持っていき、プロジェクションを実施したのである。
海の撮影には、大久保兄弟のほか、撮影の栗原論さん、音楽のめぐりなおさんも参加。アルコールランプやドライアイスの入った瓶を渡すタイミングを練習し、スタッフ4人の連携プレーで撮影が成し遂げられた。プロジェクションした映像には一部CGも使っているが、できるだけ人を感じてもらえるよう、スティックはあえて手で回す、少しずれても良しとする、後ろに人を立たせるなど、制作のプロセスを垣間見せている。「自分たちとっても、これまでにない試み。楽しみながら制作しました。その感じが見ている人に伝わるとうれしいですね」(雅人さん)。
右・大久保雅人(兄)
1978年生まれ。早稲田大学商学部卒業。
左・大久保篤史(弟)
1982年生まれ。東京藝術大学工芸科卒業。魯山人展、府中美術館の展示映像、YCAM、第四銀行のテレビCM、カードゲームRoccaの映像など。
02 フランス国立ギメ美術館「魯山人展」 展示映像(AD /柿木原政広)
03 山口情報芸術センター(YCAM)10周年 テレビCM(AD /柿木原政広)
04 川島屋未来百貨店 おためしプロジェクション(AD /柿木原政広)
Special Thanks
右・栗原論(くりはら・おさむ)
1981年京都市生まれ。東京工芸大学写真学科卒業。フリーランスフォトグラファーとしてエディトリアル、広告を中心に活動。近年は、ムービー撮影にも積極的に参加。
左・めぐりなお
1983年生まれ。広告、イベントの音楽制作。「魯山人展」「バカラ展」「YCAM」など。
- 企画+演出+美術+出演:大久保篤史
- 演出+編集+モーショングラフィック:大久保雅人
- 撮影:栗原論
- 音楽:めぐりなお
スマートフォンで右の画像が動きだす!
無料アプリ「aug! オーグ」をスマートフォンにダウンロードして、右のキービジュアルにかざすと、今回制作されたCMが再生されます。(iOS6以上を搭載した、iPhone、iPad。およびAndroid4.0以上を搭載したAndroidに対応)。PCで視聴される場合は、http://www.stick-stick.jp/crelay/からアクセスください。