今回のクリエイティブリレーはアートディレクターとコピーライター、2人でタッグを組んで制作。その表現は、いまの時代に切り込むメッセージとなりました。
一歩踏み込んだビジュアルとコピー
今号のクリエイティブリレーは、ライトパブリシティ アートディレクター 浅葉球さんとコピーライター 山根哲也さんがタッグを組んだ。完成したビジュアルはエコー写真を使ったもので、コピーは「ベビーブームを起こせ。」。提案した3案の中で一番メッセージ性が強い。「西友の皆さんが、このビジュアルがいいと即答してくださったことに驚きました」と浅葉さん。
「これまでのクリエイティブリレーの表現から一歩踏み込んで、インパクトのあるものをつくりたい」。今回、二人はそこを目指した。
「西友という企業のミッションSave Money. Live Better. を、いまの時代に結びつけるとしたら何だろうか」と模索する中でたどりついたのが、「少子化問題」ということ。「西友は人によっては、毎日お金を使う場所かもしれません。その負担が少しでも軽くなること。経済的余裕を、子どもを産むためのひとつの条件と考えました。現実的には少子化を西友だけが解決するのは不可能に近い。でも、それくらいの志で商売をしていると宣言するのはカッコイイかなと思ったのです」(浅葉さん)。
妊婦や赤ちゃんをそのまま出すのは生々しすぎることから、エコー写真を選択。コピーも最初は「ベビーブームを起こすくらいのつもりで。」だったが、最終的に「ベビーブームを起こせ。」という強い表現に変えた。当初から浅葉さんが目指していたのは、ゴリっとした強い表現。より強いコピーに変わったことで、ビジュアルにさらなる力強さが加わった。
エコー写真は撮影が難しかったため、ストックフォトから選んだ。見方によっては何であるのか、わからない写真。そのため、英文表記を入れたり、フィルム的なアクセントを入れることで、エコー写真らしい味付けを施して一目見て理解してもらえるようにした。そして最後の仕上げで、ラフにはなかった放射線を加えた。「ムーブメントを起こす力強さ、生命が放つエネルギーを感じてもらえたら」(浅葉さん)と話している。

03 JAL BOEING 787

04 ライトパブリシティ自社広告

05 DOUTOR プレミアムビーンズセレクション

06 キユーピーマヨネーズ

浅葉球(写真上)
1986年東京都生まれ。2007年ライトパブリシティ入社。グラフィックデザイナー。主な仕事に、キユーピーマヨネーズ、ドトールコーヒー、JALなど。主な受賞に、ADC賞、D&AD Yellow Pencil 、One Show Design Bronze、全国カタログ・ポスター展 経済産業省商務情報政策局長賞、青山デザインアワード グランプリなど。
山根哲也
1983年京都府生まれ。2006年ライトパブリシティ入社。コピーライター。主な仕事に、クラレ、大塚製薬、ドトールコーヒー、東京西川など。主な受賞に、広告電通賞・TVCM最優秀賞、消費者のためになった広告コンクール 銀賞、読売広告大賞 入賞。
- レタッチ:川野美緒
- PR :村田友祐、山本真由
- ストックフォト:©Doug Martin/Science Source/amanaimages
- 協力:アマナ