東山彰良『ブラックライダー』
(新潮社)
600ページを超える長編『ブラックライダー』の舞台は近未来。牛と人との間に生まれた主人公を中心に、不条理な世界が次々と展開される。「担当編集者からは、“異様な物語に合う、一種異様な装幀にしたい”というリクエストがありました」と新潮社装幀室二宮大輔さん。
内容や厚さからすると、誰もが手に取る本ではない。そのため、コアなファンに確実に届くものにしたいと考えた。カバーはイラストレーター 水沢そらさんに依頼。「水沢さんの絵は一見かわいく見えるけれど、過激な危うさも持ち合わせている。それがこの物語の世界観と合うし、タイトルと絵のミスマッチも目を引くのではないかと思いました」。
特徴的なのは、本文を取り囲むように施された黒のグラデーションだ。三方裁ちをしているため、小口にもうっすらと黒が染み出ている。カバーの背景も含め、全体的に“ブラック感”を強調した。さらに物語が醸し出す異様な空気を出すことを意識しつつ、過剰になりすぎないように気をつけた。「本を読み進むにつれて、気がついたら黒い世界の中に自分がいた――、そんな気分になってもらえたらいいですね」。
商品型名刺
(日清食品ホールディングスほか)
日清食品ホールディングスと国内事業会社は、カップヌードル、どん兵衛、チャルメラなど、各社・各ブランドの代表商品をモチーフとした「商品型名刺」を導入した。現在、グループ各社の全社員が名刺を使用している。「名刺をメディア化し、マーケティングツールとして活用する目的は社外へのアピールのみならず、社内に向けた施策でもあるんです」と、クリエティブディレクター 佐藤可士和さん。