2012年エミー賞にノミネートされたインフォモーション「The Economy of Coca-Cola」は、コカ・コーラ社のデータを90秒にまとめた映像コンテンツ。海外ではオンラインほか、テレビ番組でもインフォモーションが登場する。手がけたのはモーショングラフィックデザイナーのジョナサン・レイエスさん。米国のNBCやCBS、経済チャンネル「ブルームバーグTV」でアニメーターを務めたレイエスさんに、その制作過程を聞いた。
デザインよりメッセージが命
すべてのインフォグラフィックで最も重要なのは「何を伝えるか」です。示すべき事実、データを選ぶ際には、伝えたいメッセージを常に念頭に置くことが大切。そのメッセージを衝撃的に伝え、記憶に残す情報を選んでいきます。
例えば「The Economy of Coca-Cola」のメッセージは、「コカ・コーラは世界最大のプロダクトである」ということ。映像中で「コカ・コーラ社は世界で、日々17億本のコーラ製品を販売する」と述べていますが、それだけでは意味を持ちません。
というより、数字が大きすぎて、想像するのも難しいのではないでしょうか?
そこで「50メートルプール240杯分」、あるいは「350ミリリットル缶なら、総本数は地球を5周する」というふうに示すと、ようやく視聴者はこのプロダクトの巨大さを飲み込むことができます。実際の数値を覚えてもらえるかは重要ではありません。
伝えたいのは、コーラの厳密な販売数ではなく、いかに世界で普及している商品か、だからです。
すべてのインフォグラフィックはメッセージを持つ、このことから目を背けてはいけません。時折、とてもクリエイティブな表現方法が浮かぶことがあります。けれども、それが適切にメッセージを運んでくれるとは限りません。エンターテインメントはメッセージのサポート役です。それが逆転することはありません。ときにエゴを抑えて、表現面のアイデアを捨てねばならないこともあります。
ストーリーがビジュアルを導く
インフォグラフィック制作で最初のステップは、台本を用意することです。デザイナーとしては、グラフィックやデザイン、アニメーションなどが二の次になるのは耐えられないことかもしれませんが、デザインやアニメーションをすんなり導き、映像化のプロセスを簡単にしてくれるのが優れた台本です。特に疑問を提示して、それに答えていくタイプのストーリーは、ビジュアル化しやすく、内容をわかりやすくしてくれます。