日々私たちが接触する情報は増えつづけ、その分だけ、ひとつにかけられる時間は少なくなっていく。こうした情報の問題を解決するのが情報をビジュアル化し一目で概略を伝える、インフォグラフィック。近年、映像がコミュニケーションの中心的な位置を占めるにしたがい、世界では、モーション化されたインフォグラフィック表現がメジャーとなりつつある。
退屈で複雑な情報にこそデザインの力
情報やデータをビジュアル化し、一目で概要をつかみやすくする表現手法、インフォメーション・グラフィック(インフォグラフィック)。近年、日本でも、メディアだけでなく企業や官公庁、政治団体などが活用する傾向が目立ってきている。
例えば旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」は旅に関するさまざまな情報をビジュアル化する取り組みを続けている。8月15日にはシリーズ第78回目として、夏から秋にかけて日本列島に接近する台風をテーマに、月別の主なルートや発生件数、上陸件数をまとめたインフォグラフィックを公開。せっかくの旅先で台風に見舞われないよう、情報を提供している。
NHKは今年4月、ロングラン番組「クローズアップ現代」の放送開始20周年を記念し、1993年から2013年までの間に、日本の姿や人々の暮らしがどう変化したかを示すインフォグラフィックを公開。Webサイト上でインタラクティブなしかけがほどこされており、イラストの脇に添えられた三角形にマウスポインタを合わせると「サラリーマンのランチ代」といった情報が表示される。
情報があふれる現代の生活では、熱心に文章を読み込んだり、数値を分析したりして、提示された内容を深く理解しようとする人は多くない。次から次へと新たな情報が舞い込んでくる現在、一つひとつの事柄にそれだけの時間を割いている余裕もない。
そうした人たちと、メッセージとの間に橋をかけるのがインフォグラフィック。ビジュアルの力で、一目で自分に関係のある情報だと認識してもらったり、娯楽性で注目を集めたりできるからだ。元々の内容が複雑で込みいっていればいるほど、魅力的なビジュアルや、エンターテインメント性という味つけは際立つことになる。