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データ×ストーリー=インフォモーション!

アニメで政策提言、データで反戦運動...「インフォモーション」海外事例カタログ(後編)

情報が肥大化する一方の現代、込みいった内容を整理し、視覚的な美しさを与えるインフォグラフィックへの注目は増すばかり。海外では、インフォグラフィックを動画にする表現手法も一般化しつつある。 説得力のある客観的なデータと心を動かすビジュアルに加え、テーマが自然と頭に流れ込んでくるナレーションや映像構成。そのストーリーテリングの妙を12の事例から探っていく。

こんなブラジル知ってる?

「How to Shoot in Brazil」/FILM BRAZIL


制作に携わったスタッフは7人。プロデューサーのほか、リカルド・カレリさん、ダニエル・ポメラさんらディレクター2人の演出で、デザイナー2人とアニメーター2人が制作。1つの情報につき1人のシーンといった構成で、各シーンとそれをつなぐトランジションを異なるアニメーターが担当している。

インドや中国と並び、新興経済国として注目が集まるブラジル。近年、世界国内総生産順位ではイギリスと6~7位を争い、発展の勢いがめざましい。現地の広告制作業協会があまり知られていないブラジルのデータを添え、現地でのロケをうながすインフォモーションを制作した。

ワクワクさせるのがブラジル流

「人口は世界第5位」「国民総生産は世界第8位」「広告市場は230億ドル」...こうしたブラジルのデータを陽気な色づかいで次々と紹介していくインフォモーション。

サッカーやサンバで世界的に知名度の高い国ではあるものの、実態はよく知られていないのではないか。いま成長めざましく、活気にあふれ、テレビCMやグラフィック広告の撮影に魅力的な場所だとアピールしたい。そう考えた同国の広告制作業協会「FILM BRAZIL」が制作したものだ。

2003年設立の同協会には50以上の制作会社やスタジオなどが加盟する。協会の協力を得てブラジルで撮影する広告会社、制作会社の多くはアメリカの企業で、全体の40%を占める。二番手はイギリスで28%。以下、日本、フランス、ドイツと続く。

このインフォモーションが最初に披露されたのは、「カンヌライオンズ・クリエイティビティ・フェスティバル2013」に設けたFILM BRAZILのラウンジ。インターネットでも配信している。

制作を手がけたのはサン・パウロのプロダクション「PRODIGO」のディレクター、リカルド・カレリさん。今回のインフォモーションによって、各国の映像業界から問い合わせが寄せられているという。

「統計データ的な固い情報を、どれだけ軽やかに、楽しく、スタイリッシュなものに変換できるかが、演出上のチャレンジでした。ロケ地としてブラジルが優れていることを知らせるのはもちろんですが、それと同じくらい、見た人をワクワクさせることを目指して制作しています。そこで気を配ったのは、ナレーションとグラフィック、そしてダイナミックなタイポグラフィのバランス。これらを活用して、重要で、かつ、なるべく知られていなさそうな情報を強調していきました。協会から提供された台本はとても長く、込みいっていたのですが、ひとつの段落をひとつのイメージで表現するように力を注いでいます。情報のビジュアル化の際には、僕はよくブレーンストーミングをしています。目指すのは、ミニマル・アートのような最小限の要素での表現。ディープに、そしてクレージーに考え抜き、浮かんできたイメージを、描いて描いて、描きまくるんです。インフォモーションの制作は忍耐力もいりますが、紙と鉛筆も消費しますね」。

動画で投資家を説得せよ

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