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メディア化する企業とコンテンツ戦略

デザイン、+クリエイティブでこんなものまでメディアになる!

原口政也 アサツー ディ・ケイ コー・クリエイション室室長 

新たなメディアの開発を効果的に進めるためには、まず、「メディア」に対する既成概念を取り払い、その定義を捉え直すことが必要と言える。

その発想の転換に一役買ってくれるのが、新しい価値観で「メディア」と「コンテンツ」を捉える"C世代"だ。

ここでは、海外企業が積極的に取り組む"C世代"との協業の模様を紹介する。

数年前に「クリエイティブメディア」という言葉が流行った記憶がある。今まで、想像しなかった対象をメディアにしてしまうというチャレンジだ。その中で「プロダクトプレイスメント」も注目されていたように思う。着眼点の面白さに業界は湧き、いくつかの新しいメディアが生まれたが、多くは熱が冷めた後「あれは何だったのか?」という疑問により消滅した。

現在、話題になっている企業の既存資産の「メディア化」というのは、その時の文脈とは違うように思う。

もっとその効果に真摯で、ビジネスに寄与する方法を求めている、そんなニーズが背景にあるのではないか。であれば、まずは、そもそもこの項のテーマの文脈において「メディア」とはどういうことを指しているのか。そして、セットで語られる「コンテンツ」とはどういうことなのか。この視点から話を始めることで、現実的なアイデア創出方法を紹介してみたい。

一般的に「メディア」と「コンテンツ」は、大福の皮とあんのように二種の異質なものが重なりあっているイメージがある。いや、もう少し厳密に言えば、30代以上の世代にとっては、だ。「メディア」といったらソーシャルメディアが流行しているのにもかかわらず、今でも「マスメディア」を想像し、「コンテンツ」と言ったらプロフェッショナルが作った高品質で権威ある作品を思い描く。この既成概念が、もしかしたらあなたの企業のマーケティング活動を進化させていない最大の原因かもしれない。「こんなものまでメディアになる」という目標を達成するためには、自分の中のメディアの定義自体を捉え直す必要がある。古い考えのまま、思いつきレベルのアイデアをリストアップしたり、あるいはコンセプチュアルに考え具体に落とし込めずにあれこれ悩んでも、効果的なメディアを開発するのは容易でないだろう。 では、どのように発想を転換すればよいか。たとえば、メディアありきではなく、ターゲットに支持されるコンテンツありきで発想してみる。そこから、そのコンテンツに適したメディアを考えていくという発想が必要ではないだろうか?そこで問題となるのが、支持されるコンテンツをいかに創造するかということ。このヒントを与えてくれるのが"C世代"だ。

C世代から学ぶ新「メディア」発想

皆さんは、「C世代」という言葉をご存じだろうか。

「Cは『つながっている、コミュニケーションしている、コンテンツ中心主義、コンピューター化された、コミュニティ志向、常にクリックしている(Connected, communicating, content-centric, computerized, community-oriented, alwaysclicking 』を意味する。おおむね1990年代以降に生まれ、2000年以降に思春期を迎えた世代がこれに該当する。先進国では、この世代全員がC世代に属する。BRICs諸国においては、主に都市とその近郊に在住するこの年代層がC世代である。(Booz&co. Management Journal Vol.17 2011 Summerより引用)C世代は「コンテンツ」について、プロフェッショナルの作品のみに敬意を表したり、権威者の品評のみによってその価値を確定させたりしない。マスメディアとは上手に距離を取りながら、同時にソーシャルメディア上で知人や友人から情報の裏取りをしていく。このメディアとコンテンツに対する価値観は、やがて上の世代をも巻き込んで浸透していくに違いない。さらにこの流れが世界同時に起こっていることがポイントだ。昨今、アジアを中心とする海外市場へ進出する日本企業が増加している。今こそ、より根源的な視点に立って、彼らのライフスタイルやメディアとの関係方法をつぶさに観察・分析していくことで、日本でも、そして海外でも通用する、今まで発想しなかったものをメディア化する手法を見出し、具体の実現につなげていくことができるはずだ。

+デザイン、+クリエティブ創造プラットフォーム"eYeka(アイカ)"

私は毎日、世界中のC世代と接して圧倒され、刺激を受け、発想の転換を強いられている。世界154カ国・25万人の、クリエイティブの才能があるC世代の消費者とつながっているからだ。企業が彼らにアイデアやコンテンツを求め、コンテストを開催する仕組みを持つ会社と仕事をしているのだ。私が勤務するADKは2011年、eYeka(アイカ)というコクリエーションプラットフォームを運営するフランス企業と提携し、クライアントのマーケティングイノベーションのサポートを行っている。私はこの協業のプロジェクトの担当だ。この体験を通じて、「メディアとは何なのか?」と問うことがよくある。この視点から、後半に具体的なアイデアをご提案したいと思う。

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