WEBで見せる「画」ありきで店頭に仕掛けをする
良品計画WEB事業部でデジタルマーケティングの指揮をとる川名常海氏は、無印良品のデジタル施策について、「WEBだけで完結するのではなく、基本的には店頭の営業展開にあわせて企画している」と話す。「ECも運営しているが、コンタクトポイントとして圧倒的に強いのは、やはりリアルな店舗。顧客の購買行動において、必ずどこかでデジタルコミュニケーションが介在する今、WEBの企画では、デジタルの接点でエンゲージメントして、いかにリアル店舗を訪れてもらうかを意識して企画を進める」(川名氏)。
たとえば、昨年のクリスマスキャンペーンでは "お菓子の家"を手作りすることができるキットの拡販を目的に、WEBと店頭の連動企画「MUJI HOME MADE」を展開した。旗艦店である有楽町店の店頭に、お菓子で作った街を展示し、展示期間中、その様子を特設サイトで24時間中継した。企画にあたっては、WEBで見せたい"画"のイメージから逆算して、店頭の仕掛けを考えていったという。
ツイッターで、商品に関するファンのつぶやきを見ていたところ、「子どもにねだられて買った」、「子どもの頃に読んだ童話を思い出す」といった声が散見され、童話の世界に浸りながらお菓子作りを楽しむ様子が見受けられた。そこで商品の訴求ポイントを「手作りの楽しさ」ではなく、「童話の世界観」に据え、店頭にお菓子の街を再現した」(川名氏)。期間中、この展示を見ようと有楽町店を訪れた人は15万人にのぼった。「店頭展示だけだと、商品の世界観を感じられるのは有楽町店に来店した方のみ。全国380店舗のお客さまにこの世界観をどう伝えるかを考えた時に、WEBが力を発揮する」(川名氏)。