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覗かれるウェブカメラ 管理の甘さは狙われるきっかけに

鶴野充茂(ビーンスター 代表取締役)

ブログや掲示板、ソーシャルメディアを起点とする炎上やトラブルへの対応について事例から学びます。

覗かれるウェブカメラ
今年3月、パスワード設定をしないまま使っているネット接続のウェブカメラの映像が、第三者から見られる状態になっていることが大きく報じられた。多くは店舗や事務所、家庭などに設置された防犯や監視用で、非公開を前提にしたものだった。

見る設定=見られる設定

今年3月、朝日新聞の一面で全国に設置された多数のウェブカメラの映像が、アドレスさえ分かれば第三者に丸見えになっていることが報じられた。その数は調査対象の3割以上にも及んだという。

この調査で見つかった無防備なカメラは、書店や美容院、飲食店、スーパーに事業所の従業員控室、幼い子どもたちがいる託児所のような場所もあり、映像から住所が特定できるものもあった。実際のユーザーに確認したところ、指摘を受けるまで外部から見られるという意識はなかったらしい。

ウェブカメラは出荷時、パスワードが設定されていなかったり、設定されていても簡単に想像できるものが少なくない。それをそのまま使っているユーザーがとても多いということだ。

デフォルト設定のパスワードのままでは、セキュリティ対策とは言えない。自分が「見る設定」は、誰かから「見られる設定」でもあることを忘れてはならない。

管理の甘さは狙われるきっかけに

こうした無防備なカメラが見つかるのは、組織にとって意外にダメージが大きい。そのカメラからどんなデータが流出したかというよりも、組織の体質としての管理の甘さ、セキュリティ意識の低さを露呈するからだ。それをきっかけに、もし目をつけられて狙われたりすると、カメラ以外からもその組織の情報流出につながる可能性が少なくない。

ユーザーとメーカー両方に責任

もちろん「見る方が問題」という考えはあるだろうが、悠長なことを言っていられないのが現実だ。

海外ではこうした無防備な世界中のウェブカメラの映像を一覧できるサイトが何度も現れて、大きな問題になっている。

最近ではネット上で操作できるカメラも増えており、例えば、子どもの寝室に付けられたカメラが国外から操作され、知らない間に勝手に音楽まで流されていたことが分かり、親が恐怖を感じたといったニュースも流れている。

また、ノートパソコンに取り付けられているウェブカメラの映像が、パソコンのウイルス感染によって、ユーザー本人が気づかないまま外部から見ることができる状態になり、プライベートな生活の様子が筒抜けになっていたという事件も生まれている。

かつてはITに詳しい管理者が設定するしかなかった多くの機器が、個人で簡単に扱えるようになった。それに伴って、ユーザー一人ひとりが意識して管理する必要があるものが増えている。それはつまり、機器メーカーとしても、セキュリティ意識の啓発や安全利用についての広報活動の重要度が増しているということでもある。

ビーンスター 代表取締役 鶴野充茂(つるの・みつしげ)

国連機関、ソニーなどでPRを経験し独立。日本パブリックリレーションズ協会理事。中小企業から国会まで幅広くPRとソーシャルメディア活用の仕組みづくりに取り組む。著書は『エライ人の失敗と人気の動画で学ぶ頭のいい伝え方』(日経BP社)ほか30万部超のベストセラー『頭のいい説明「すぐできる」コツ』(三笠書房)など多数。公式サイトは
http://tsuruno.net

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