児童向けコミック雑誌『月刊コロコロコミック』(小学館)の表紙デザイナー、佐々木多利爾氏。子ども向け雑誌のデザインを長きにわたり手掛けてきた佐々木氏が考える表紙と広告の関係性とは何か、話を聞いた。
コロコロにかかわり36年 ギネス世界記録を達成
『スーパーマリオくん』や『妖怪ウォッチ』、『星のカービィ ~まんぷくプププファンタジー~』など、数々の人気作品を連載する、小学館が発行している月刊コミック誌『月刊コロコロコミック』(以下、『コロコロコミック』)。
1977年に小学生が読むための漫画雑誌として創刊して以来、『ドラえもん』、『おぼっちゃまくん』といった作品や、『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』、『爆転シュート ベイブレード』、『甲虫王者ムシキング』などゲームメーカーや玩具メーカーとタイアップした漫画や記事も多数掲載し、子どもたちからの人気を集めている。
そんな『コロコロコミック』の表紙デザインを36年という長期にわたり手掛けるのが、グラフィックデザイナーの佐々木多利爾氏。2020年には、同一雑誌のデザインを最も長く担当したデザイナーとしてギネス世界記録に認定された(ギネス世界記録には、7月15日時点の「34年213日」が「同一雑誌の表紙をデザインした最長期間」として記録されている)。
佐々木氏と小学館のかかわりは50年にも及ぶ。一番長く手掛けているのは『コロコロコミック』だが、以前は同社の幼児雑誌『幼稚園』のデザインにも携わっていた。『コロコロコミック』の創刊準備室が、『幼稚園』編集部の隣にあったというつながりから、創刊のサポートを行うようになった佐々木氏。それが長い縁のはじまりとなり、『コロコロコミック』2代目デザイナーとして現在に至る。
そんな『コロコロコミック』のレジェンドデザイナーが仕事に向き合う姿勢は非常に謙虚だ。
「未だに、満足いくデザインができたことは一度もありませんね。いつも自分のデザインに対して納得と反省を繰り返してきました。ですから、『気に入っているデザインはどれ?』と聞かれると、常に最新号だと答えています。それでも何かしら反省点はあるんですけどね(笑)」と自身の仕事に対する評価を話す。
そんな『コロコロコミック』の表紙は、現在も紙とペンから生まれている。編集者からラフを手渡されると、メインキャラクターをはじめ、20以上にも及ぶ掲載タイトルや、そのキャラクターを、一つひとつのパーツがかぶらないように丁寧なペンさばきで...