広告マーケティングの専門メディア

           

私の広告観

A5判にワクワクを詰める 『コロコロ』表紙デザイナー・佐々木多利爾氏の広告観

佐々木多利爾さん

児童向けコミック雑誌『月刊コロコロコミック』(小学館)の表紙デザイナー、佐々木多利爾氏。子ども向け雑誌のデザインを長きにわたり手掛けてきた佐々木氏が考える表紙と広告の関係性とは何か、話を聞いた。

佐々木多利爾(ささき・たりじ)さん
デザイナー。1946年、宮城県鳴子温泉生まれ。岩手大学教育学部特設美術科卒業。グリーンスタンプ、印刷会社でデザインを学び、その後フリーランス。コロコロコミックの表紙デザインは1985年から現在まで、36年担当している。代表デザインは、『月刊コロコロコミック』表紙デザイン、『ビックリマン』、『かっとばせ!キヨハラくん』、『ダッシュ!四駆郎』、『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』、『爆走兄弟レッツ&ゴー!!MAX』、『つるピカハゲ丸』、『おぼっちゃまくん』、『スーパーマリオくん』などコミックスカバーデザイン、小学館児童誌『小学二年生』、『小学三年生』、『小学四年生』、『小学五年生』、『小学六年生』、『幼稚園』、『ベビーブック』表紙デザイン、少年誌『週刊少年サンデー』ロゴデザインなど。

コロコロにかかわり36年 ギネス世界記録を達成

『スーパーマリオくん』や『妖怪ウォッチ』、『星のカービィ ~まんぷくプププファンタジー~』など、数々の人気作品を連載する、小学館が発行している月刊コミック誌『月刊コロコロコミック』(以下、『コロコロコミック』)。

1977年に小学生が読むための漫画雑誌として創刊して以来、『ドラえもん』、『おぼっちゃまくん』といった作品や、『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』、『爆転シュート ベイブレード』、『甲虫王者ムシキング』などゲームメーカーや玩具メーカーとタイアップした漫画や記事も多数掲載し、子どもたちからの人気を集めている。

そんな『コロコロコミック』の表紙デザインを36年という長期にわたり手掛けるのが、グラフィックデザイナーの佐々木多利爾氏。2020年には、同一雑誌のデザインを最も長く担当したデザイナーとしてギネス世界記録に認定された(ギネス世界記録には、7月15日時点の「34年213日」が「同一雑誌の表紙をデザインした最長期間」として記録されている)。

佐々木氏と小学館のかかわりは50年にも及ぶ。一番長く手掛けているのは『コロコロコミック』だが、以前は同社の幼児雑誌『幼稚園』のデザインにも携わっていた。『コロコロコミック』の創刊準備室が、『幼稚園』編集部の隣にあったというつながりから、創刊のサポートを行うようになった佐々木氏。それが長い縁のはじまりとなり、『コロコロコミック』2代目デザイナーとして現在に至る。

そんな『コロコロコミック』のレジェンドデザイナーが仕事に向き合う姿勢は非常に謙虚だ。

「未だに、満足いくデザインができたことは一度もありませんね。いつも自分のデザインに対して納得と反省を繰り返してきました。ですから、『気に入っているデザインはどれ?』と聞かれると、常に最新号だと答えています。それでも何かしら反省点はあるんですけどね(笑)」と自身の仕事に対する評価を話す。

そんな『コロコロコミック』の表紙は、現在も紙とペンから生まれている。編集者からラフを手渡されると、メインキャラクターをはじめ、20以上にも及ぶ掲載タイトルや、そのキャラクターを、一つひとつのパーツがかぶらないように丁寧なペンさばきで...

あと60%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

私の広告観 の記事一覧

A5判にワクワクを詰める 『コロコロ』表紙デザイナー・佐々木多利爾氏の広告観(この記事です)
対話への思いを脚本に込める 劇作家・演出家・根本宗子氏の広告観
一歩先を探求する建築と広告は似ている 建築家・永山祐子氏の広告観
花を「メディア」ととらえ社会課題にも向き合う 華道家・片桐功敦氏の広告観
必要なのは「アート」と「サイエンス」の再整理 作曲家たなかひろかず氏の広告観
『月が綺麗ですね』だからこそ、伝わる思い 「文化通訳家」ネルソン氏の広告観
宣伝会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する