企業が実在の商品で課題を提供する「宣伝会議賞」。特徴のひとつに協賛企業自らが優秀作品を選ぶ「協賛企業賞」の存在があります。60回目の開催を目前に控えた今、昨年の第59回「宣伝会議賞」を受賞者と協賛企業担当者と一緒に振り返ります。今回はシルバーと協賛企業賞を受賞し、イー・スピリットの課題では「無名の女優は、探せない。」の作品でファイナリストに選出された上條直子氏とイー・スピリット 代表取締役の足立茂樹氏に話を聞きました。
言葉をつくるときの難しさは「正解がないこと」
──「無名の女優は、探せない。」素晴らしいコピーです。普段から広告の仕事に携わっているのですか?
上條:普段は作文の添削指導をしています。ですから広告業界に身を置いているわけではありません。ですが、もともと趣味で川柳をつくっていて、公募賞には度々挑戦していました。その中でたまたま目に入ったのが「宣伝会議賞」。賞金の100万円に惹かれたのが応募のきっかけでした(笑)。
足立:作文の添削!言葉にまつわるお仕事はされているのですね。お仕事ではどのようなことに難しさを感じるのでしょうか。
上條:“正解がないこと”でしょうか。マニュアルも存在しているわけではないので、「この文章を読んだ人がしっかりと理解できるだろうか」という軸で判断するしかありません。自分自身の言葉の力が試されているように思いますし、難しさを感じます。
足立:コピーにも似た部分がありますね。多くの人に伝わるかどうかは大変重要だと思います。今お話をしていても、丁寧に言葉を選んでくださっているのがわかります。上條さんはファイナリストに2作品も残っているのを誌面で拝見しました。普段からお仕事として言葉を扱っていらっしゃるからこそ、実力が伴ったコピーが書けるのですね。改めて、素敵なコピーをありがとうございました。
身近な業界でなくとも、サイトとオリエンで理解を深めた
──前回ファイナリストに残ったイー・スピリットのコピーはどのように制作したのでしょうか。
上條:イー・スピリットさんはキャスティング会社ということもあり、正直、広告制作の現場で働いていない私にとっては少し距離のある業界です。ですから、最初は会社のサイトを拝見して、「どのような会社なのか」「何をしている会社なのか」といった特徴を掴んでいきました。その中で最も印象に残っているのが...