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私の広告観

一歩先を探求する建築と広告は似ている 建築家・永山祐子氏の広告観

永山祐子さん

海外ラグジュアリーブランドの店舗や商業施設、文化施設や個人邸宅まで、幅広く手がける建築家・永山祐子氏。固定観念にとらわれない素材選定や個性あふれる空間設計で注目を集める永山氏が感じる、建築と広告の未来への期待について聞いた。

永山祐子(ながやま・ゆうこ)さん
1975年東京生まれ。1998年昭和女子大学生活美学科卒業。1998年青木淳建築計画事務所勤務。2002年永山祐子建築設計設立。主な仕事、「LOUIS VUITTON 京都大丸店」「丘のある家」「豊島横尾館」「女神の森セントラルガーデン」「ドバイ国際博覧会日本館」など。JIA新人賞(2014)、山梨県建築文化賞、東京建築賞優秀賞(2018)、照明学会照明デザイン賞最優秀賞(2021)など。現在、「東急歌舞伎町タワー」(2023)、東京駅前常盤橋プロジェクト「TOKYO TORCH」などの計画が進行中。

©木内和美 ©Kazumi Kiuchi

そこでしかできない“体験”により空間の付加価値を高めていく

「2020年ドバイ国際博覧会 日本館」をはじめとする数々の話題の建築物を手がけ注目される建築家・永山祐子氏。

商業施設や文化施設、展示会などといったパブリックスペースも得意とし、実績も多いが、永山氏のまなざしは常にそこに集う人々と、取り巻く環境に向けられている。

「例えば商業施設は本来、買い物をしたり、飲食をしたりといった消費行動をする場所ですが、そこでどんな『体験』ができたら訪れる人にとっていいだろうかと考えます。現在はECサイトなどで欲しい物がすぐ手に入る時代。商業施設の場合、顧客の購買ルートが多様化する中で、わざわざ店舗に足を運んでもらうためには、そこでしかできないような“オリジナルの体験”が重要になります。訪れた方に、どれだけ“場”が満足感を提供できるか。その結果、購買行動にも結び付くことが理想だと考えています」と永山氏は話す。

価値ある体験を提供すべく、チャレンジを試みた事例のひとつが、群馬県前橋市にあるJINSのロードサイド店舗「JINS PARK 前橋」。敷地内には庭があり、店内にはベーカリーカフェを併設。眼鏡の販売店という枠を超え、誰もが自由に使える「みんなの場所」をコンセプトとした、街のシンボル的な存在とも言える施設だ。

「眼鏡を購入する目的にとどまらない、地域の人の憩いの場となればと考えました。特に子育て世代も意識し、安心して子どもを連れて行けて、かつリラックスできる場所。そんな提案も行いながら、JINSさんと時間をかけてディスカッションを重ねて完成させた案件でした」。

また、「玉川髙島屋S・C本館1階グランパティオ」では、50年の歴史を持つ地域の憩いの場所として新たに「Library & Art」のコンセプトが加わりそれに対して、新しい出会いをテーマにした空間づくりを行った。ライブラリースペースを設け、緑をふんだんにとり入れた...

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