9月10日のイギリス時間午後6時、D&AD賞の最終結果がオンラインセレモニーにて発表された。本年度は約20000点の作品の応募があるなか、260人の審査員は6カ月にわたってオンライン審査を実施。618作品にペンシルを授与した。最高賞のブラックペンシル、およびブランディング部門から注目の作品をピックアップした。

01 タイポグラフィ部門:Family Type
タイポグラフィ部門で初の快挙!
Family Type「Universal Sans」

本年度のブラックペンシルに選ばれたのは4作品。ワッパーを展示し、腐っていく姿を見せることで添加物が入っていないことを強く訴えた、バーガーキングの「Moldy Whopper」。アメリカの銃暴力の歴史を伝えるIllinois Council Against Handgun Violenceの書籍、「The Gun Violence History Book」。「アフリカに帰れ」というSNSでのヘイト投稿を、アフリカの魅力を伝えるビジュアルへと変換するキャンペーン「Go Back To Africa」。
そして、D&AD史上初めてタイポグラフィ部門でブラックペンシルを受賞したのが、「Universal Sans」だ。
ニュージーランド出身のタイポグラファー、ブリトン・スミス氏が立ち上げた会社「Family Type」は、“どのようにテクノロジーをタイポグラフィに応用できるか”という観点のもと、サンセリフ書体を作成できるシステム「Universal Sans」をリリースした。
その背景には、デザイナーたちがプロジェクトのコンセプトに適した理想的な書体を探す作業に苦心する状況があった。書体の作成には時間と費用のコストがかかり、いくつかの文字だけ変えたいという場合であっても、煩雑な作業が必要になる。
2019年にリリースされたこのシステムでは、オンライン上でユーザーが自分好みにサンセリフ体の文字を編集し、さらにそれをダウンロードして使用することが可能だ。文字は、丸みや太さなどを微調整できる。
本プロジェクトにおいて困難だったのは、膨大なカスタマイズに耐えられるような、元となる書体をデザインすることだったという。