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米国広告マーケティング事情

新型コロナの感染拡大に対し 知恵を絞る米各企業

松本泰輔

世界で感染が拡大する新型コロナウイルス。米国においては、1月20日にワシントン州で全米初の発症者が確認された後も、まだ感染者は比較的少なかった。ところが、3月に入ると西海岸、東海岸の大都市圏を中心に感染者が激増。3月中旬には多くの州で非常事態宣言が発令され、不要不急の外出禁止令は今もなお続いている。会社、学校、公共施設などすべてが、直接の往来は拒否され、リモートアクセスのみとなるなど、人々の生活環境は一変した。それに対応して企業も消費者に寄り添うマーケティング活動へと舵を切り始めている。

米国3大自動車メーカー ローン返済期限の延長などで消費者を支援

非常事態宣言が発令されると、レストラン・バーやエンタテインメント産業など、「生活に不可欠なもの以外の職業」は休業が命じられ、多くの人々が職を失った。そんな中、いち早く動いたのが米国3大自動車メーカーのフォード・モーター(以下、フォード)だった。

同社は急遽、新テレビCM「Built To Lend a Hand」を制作し、3月中旬より放映を開始。CMで訴えたのが、すでにフォード車を購入済みの人や、これから車を購入予定だった人を対象に、ゼロ金利ローンの返済期限の延長や、初回払いの最長90日間の延長を実施したことだった。

ちなみにCMは、以下のようなメッセージも合わせて伝えている。「フォードは過去100年にわたって、皆さんに手を差し伸べてきました。戦時中には国のために戦闘機をつくり、ハリケーンや竜巻など自然災害発生時には被災者に支援を行いました。そして、いま一度皆さんを手助けするときがきました」。

同社は、ローン以外にも本社のあるミシガン州の非営利団体に50万ドル(約5000万円)を寄付したり、学校や介護施設の閉鎖・縮小を受け食事の供給・配達の援助を行ったりするなどしている。

また、ゼネラル・モーターズ(以下、GM)とフィアット・クライスラーも、新規顧客向けゼロ金利・初回支払い延期キャンペーンを開始した。さらに、韓国で最大手の自動車メーカー「現代(ヒュンダイ)自動車」も、同様に「失職したオーナーは最大6カ月間ローン返済休止、新車購入時には最初の90日間返済なし」と発表し、テレビやオンラインなどで幅広く告知。4月上旬にはほぼすべての米国に拠点を置く自動車メーカーが、新ローンによる救済措置を開始した。

さらには、本来のビジネスモデルの範疇を超えた支援策も生み出されている。例えば...

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