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フランス消費トレンド

新型ウイルスでジョギングブーム?──非常事態下で露わになる国民性

山本 真郷氏/渡辺 寧氏

ファッションを中心とした新しいライフスタイルの発信源である、フランス・パリ。パリに駐在する日本人マーケターが街中で見つけた、新しいトレンドを紹介。トレンドをマーケティングと異文化理解の2つのフレームから読み解きます。

外出制限を拡大解釈 フランス人の国民性

世界で猛威を振るう新型コロナウイルス。この世界的な感染状況を見るに、人間という生物だけが地球上をあっという間に自由自在に動き回れる(グローバリゼーションや科学技術)特権を保持している状況を、自然界が許さないという図式に思えてなりません。フランスでは感染拡大を受け、3月15日から食料品や薬などの生活必需品を扱う以外の全ての小売店舗が休業となり、17日から外出制限が始まりました。今回は、生活や仕事が制限される「非常事態下で国民性が露わになる」というお話です。

「外出制限」はイメージし難いと思いますが、内務省のWebサイトからダウンロードできる「特例外出証明書」に個人情報と外出理由を記入し、身分証明書と併せて携帯すれば回数制限なく外出できる、というのが当初のルールでした。

国民の自制に基づいた措置と言えますが、そこは何事もうまくやり抜ける術「システムD」(本連載4月号で紹介)を身につけているフランス人のこと。蓋を開けてみれば、セーヌ川沿いがジョギングや散歩を楽しむ人々で賑わい、テレワークになったことを利用して、旅に出かける人まで出てくるなど、特例を拡大解釈した不必要な外出が横行しました。このため、現在では外出回数、時間、移動距離など制限が強化され、罰則も厳しくなっています。

ちなみに、私が住むパリ15区では平時よりもジョガー風な人が増えた気がします。ジョギングは外出理由として認められているため、ひとまず運動着で外に出れば自由に動き回れるだろう、と考える人が相当数いることに加え、普段運動しない人もジョギングを始めているといった話もあるので、皮肉にも外出制限下でジョギング人口が増えているのかもしれません。

現在は、閉鎖されたマルシェ。

外出制限が出て以来、ジョガーの姿が増えたパリ。

自粛を呼びかけてもボディタッチは止まらない

フランスでは「ビズ」(頰へのキス)や「握手」といった接触型の挨拶の習慣がありますが、当然ながら感染予防として自粛が呼びかけられています...

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