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米国広告マーケティング事情

新年の抱負は「今年こそ痩せる!」米ダイエット市場の熾烈な争い

松本泰輔

新年を祝う習慣のないアメリカでも、年が明けると「New Year’s Resolution」という新年の抱負(決意)を表明する人は多い。その中で最も一般的なのが「今年こそは痩せる!」というものだ。現実に、JAMA(米国医師会雑誌)の2018年のリポートが「アメリカ人の39%が肥満」と報じるなど、肥満は大きな社会問題となっている。

そして「有料ダイエットプラン」を販売するウエイトロス社は、年初から大規模なキャンペーンを開始。2019年2月のResearch And Markets社のリポート「The U.S. Weight Loss & Diet Control Market」では米国市場は約720億ドル(約7.9兆円)と算出されており、年明けとともに熾烈な市場争いが巻き起こっている。

Noom “SNS感覚”のアプリが人気 仲間と励まし合い、モチベーションを維持

ダイエット業界の中では後発の「Noom(ニューム)」は、2008年に元グーグルのエンジニアによって設立された会社だ。創業当初はエクササイズとカロリー計算をアプリでトラックするという他社と同様の方式を採用していたが、2014年に転機が訪れた。

臨床心理士のDr.アンドレアス・マイカリーデス氏を迎え、食事と運動のプランにサイコロジー(心理学)とビヘイビア(行動学)をミックスさせた斬新なスタイルにサービス内容を変更。運動内容や細かい食事療法よりも、「仲間と一緒に乗り越えよう」という心理的作用に重点を置いたものに舵を切ったのだ。その結果、メンバーは徐々に増え、2020年1月にはTop10.comのダイエットプラン部門で1位に選ばれた。

Noomのサービスについて確認してみよう。まずアプリを開くと、自分の体型や目標設定などの個人情報の入力画面に移る。次に個人データに基づく各ユーザー独自のダイエットプランが自動生成されるので、それに従って食事とエクササイズを開始する。そしてAIのアルゴリズムがユーザーの一定期間の活動記録を分析し始めると、Noomから「ヘルスコーチ」と「グループ」が紹介される。

コーチは日頃の会員の活動を随時チェックし、的確なアドバイスやコメントを送ってくれる。仲間とは質問や意見交換などをし合いながら、「ひとりじゃない。みんなで頑張っていこう」と励まし合うのだ。これが同社の特徴とする心理作戦であり、まるで“SNSでダイエット仲間と意見を投稿し合う”感覚でダイエットは進行していく。

Noomについて、スポーツ循環器専門医のジョン・ヒギンズ氏はmsn.comで、「自分だけでやるより友人やグループで参加する方が体重を落としやすいという研究結果がある。また、『○○や××は食べてはダメ』という食事制限より『1日最低限のカロリー摂取量』と表示するなど健康的なアプローチも良い」と同サービスを評価。Noomの体験者約3万6000人への調査結果でも、約78%が9カ月間で「痩せた」と回答しており、「結果が出るダイエット」として人気を博している …

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