SNSで多くのフォロワーを持つインフルエンサーを活用した「インフルエンサー・マーケティング」。ここ10年で大きく成長し、企業の予算枠も年々増え続けている。Business Insider誌では、米インフルエンサー・マーケティング市場は2019年の最大約80億ドル(およそ8720億円)から2022年には約150億ドル(約1.6兆円)にまで達すると予測している。

ニューロ(神経)マーケティングで立証されたインフルエンサーの影響力
脳波の測定から得られたデータをもとに、商品に対する消費者の心理や感情を心地良い方向へ導く手法「ニューロ(神経)マーケティング」が最近、話題となっている。その専門会社Neuro-Insightによると「インフルエンサー広告はテレビCMと比較して感情への影響力は87%高く、277%より強く記憶に残る」と報告されている。
また、インフルエンサー・エージェンシーMediakixは「企業の80%が『インフルエンサー・マーケティングは効果的だ』と述べ、89%が『他のマーケティング・チャネルと比較してROIは同等、もしくはそれ以上だ』と評価している」との調査結果をまとめている。このように効果の高さが具体的な数値で示されると、企業担当者も予算を確保しやすくなるだろう。
まとめ方は各社で多少異なるが、インフルエンサーはフォロワー数により4つに分類される。それは①メガ(100万人以上)②マクロ(10万人以上)③マイクロ(1000人以上)④ナノ(1000人未満)である。企業は目的やターゲットに合わせてインフルエンサーを選定し、キャンペーンを企画することが重要となる。
認知の獲得に適した「メガ」メガ級のCGインフルエンサーも登場
メガ・インフルエンサーを使う目的は、不特定多数にリーチし、商品の幅広い認知を獲得することにある。人気の男性YouTuberのコンビ「Vat19」は2019年末時点で約700万人のフォロワーを持つ。Clorox社は約1年前から排水管洗浄剤「Liquid Plumr」の「Will It Clog?(これって詰まる?)キャンペーン」をVat19に委託している。
Vat19は大量のバター、チョコレート、ベーコンなどをキッチンシンクの排水口に無理やり詰め込み、パイプを詰まらせる。次に液体の「Liquid Plumr」を流し込み、詰まりが解消される様子を実況する。2~3カ月に1本のペースで動画は配信され、いずれも180~710万回再生されている。1年間の広告はこれだけにも関わらず「2015年以来、初めて売上が上昇した」と同社ブランドエンゲージメント・ディレクターのデイビッド・ケリス氏はアドエイジ誌で述べている …