顧客と企業・ブランドとの接点をつくり、関係性を維持・強化する役割を担い続けてきた宣伝部門。消費者のライフスタイルや価値観が大きく変わりつつあることに加え、デジタルテクノロジーの進化によってメディア環境・コミュニケーション環境も激変している今の時代。当然、企業の宣伝部門も変革を迫られています。
今号では、主要企業43社の宣伝部門トップを対象にアンケートを実施、その回答を通じて『次世代宣伝部長』の人物像に迫りました。変化の時代、顧客と向き合い、売上やブランド価値向上といった成果を厳しく追及されているこの部門を率いる人材は、どのようなスキルやマインドセットを持ち合わせているのか。部門のメンバーや外部パートナーと、どのようなチームをつくり、仕事に向き合っているのか。生の声を通じて、ひも解きます。
宣伝部門の今年の注力領域や注力媒体、抱える課題や、外部パートナーに求める役割・スキルについて聞いたアンケートへの回答を一覧で紹介する。回答項目は、【1】社内における宣伝部門の役割、【2】部門に不足していること・強化が必要なこと、【3】管轄業務、【4】特に注目している媒体(3つまで選択)、【5】広告宣伝費の増減見込み、【6】2017年に注力したい施策・領域(3つまで選択)、【7】自身が宣伝部門トップに就任してから取引を開始したパートナー企業のカテゴリー(複数選択)、【8】パートナー企業に求める役割・スキル。
01 アサヒグループ食品

食品菓子事業本部
食品菓子マーケティング 部長
林 和弘(はやし・かずひろ)
2011年 エルビー/マーケティング部長、2013年 アサヒフードアンドヘルスケア/食品マーケティング部長、2016年 アサヒグループ食品/食品菓子マーケティング部長(現職)。
社内における宣伝部門の役割
後方販売支援
商品をお客さまにお届けする(商品が売れる)ことが最大のミッション。
部門に不足していること・強化が必要なこと
若い組織のため、経験値を上げていくこと。
2017年度に注力したい施策・領域
● 継続的な購買の促進(リテンション、リピーター獲得施策)
● メディアの効率的なプランニング・バイイング
● 部門内の人材育成
商品の短命化に歯止めをかけ、ロングセラーブランドの育成手法確立を目指したい。そのためには、商品価値の効果的(効率的)な訴求手法や、顧客との絆強化のための施策展開について、より深い探索を行っていきたい。
パートナー企業に期待する役割・スキル
社内で持ち得ないリソース・機能の補完。
02 アサヒビール

マーケティング本部 宣伝部
理事 宣伝部部長 鈴木 歩(すずき・あゆみ)
1991年入社。名古屋支社営業担当。1996年 マーケティング部商品企画課。1997年 営業部営業企画第一課。2001年 マーケティング部宣伝課(現宣伝部)。2003年 媒体グループリーダー。2008年 制作グループリーダー。2009年9月より現職。
社内における宣伝部門の役割
ブランドの価値向上と売上に貢献すること
広告投資対効果の最終的な指標は売上であると考えます。広告を通じて商品に関心を持っていただき、ブランドの価値を向上させ、売上に結びつけていくことが使命だと考えています。
部門に不足していること・強化が必要なこと
お客さまをこれまで以上に深く理解し、トータルマーケティングの一翼を担うこと。そして、より専門性を高めるとともに、従来の発想に捉われない革新的な取り組みに、積極的にチャレンジする組織になること。
2017年度に注力したい施策・領域
● 商品の売上を宣伝施策で高めること
● 継続的な購買の促進(リテンション、リピーター獲得施策)
● クリエイティブ力の向上
商品の売上に結びつく広告展開ができて初めて、宣伝部としての責務が果たせると考えています。これが仕事をしていく上での根本的な考え方です。また、メディアの多様化やそれに伴う膨大な情報量の中で、広告が効きにくくなっていると言われて久しいですが、こういう環境だからこそ、クリエイティブ・コンテンツの力が非常に大事であり、その企画力、開発力のさらなる向上が、効果・効率的な広告宣伝活動の最大のポイントだと考えています。
パートナー企業に期待する役割・スキル
同じ目標に向かって一緒になって知恵を出し、汗を流していただける関係になれるよう、私どもも努力してまいりたい。
03 エステー

コーポレート コミュニケーション部門
部門長
中村 吉見(なかむら・よしみ)
2015年4月より、コーポレートコミュニケーション部門部門長 兼 広報部部長。
社内における宣伝部門の役割
お客さまに価値を届けるメッセンジャー
本当に伝えるべきことを、お客さまが理解できるよう変換し、それを多くの方々に届くようさまざまな工夫をすることで...