顧客と企業・ブランドとの接点をつくり、関係性を維持・強化する役割を担い続けてきた宣伝部門。消費者のライフスタイルや価値観が大きく変わりつつあることに加え、デジタルテクノロジーの進化によってメディア環境・コミュニケーション環境も激変している今の時代。当然、企業の宣伝部門も変革を迫られています。
今号では、主要企業43社の宣伝部門トップを対象にアンケートを実施、その回答を通じて『次世代宣伝部長』の人物像に迫りました。変化の時代、顧客と向き合い、売上やブランド価値向上といった成果を厳しく追及されているこの部門を率いる人材は、どのようなスキルやマインドセットを持ち合わせているのか。部門のメンバーや外部パートナーと、どのようなチームをつくり、仕事に向き合っているのか。生の声を通じて、ひも解きます。
宣伝部門の今年の注力領域や注力媒体、抱える課題や、外部パートナーに求める役割・スキルについて聞いたアンケートへの回答を一覧で紹介する。回答項目は、【1】社内における宣伝部門の役割、【2】部門に不足していること・強化が必要なこと、【3】管轄業務、【4】特に注目している媒体(3つまで選択)、【5】広告宣伝費の増減見込み、【6】2017年に注力したい施策・領域(3つまで選択)、【7】自身が宣伝部門トップに就任してから取引を開始したパートナー企業のカテゴリー(複数選択)、【8】パートナー企業に求める役割・スキル。
17 資生堂ジャパン

コミュニケーション統括部 部長
小出 誠(こいで・まこと)
1984年資生堂入社。大阪での営業を経て、1986年商品開発部。宣伝部宣伝課、経営企画部、プロフェッショナル事業部を経て、2014年4月からコミュニケーション統括部にてデジタルを含む媒体買付、商品PR、オウンドメディア運営を担当。2015年10月より現職。
社内における宣伝部門の役割
広告活動の企画・実践・検証
部門に不足していること・強化が必要なこと
メディア接触状況の変化が激しい中、新しいコミュニケーションの方法論の開発が必要だが、上手く実現できていない。
2017年度に注力したい施策・領域
●商品の売上を宣伝施策で高めること
●継続的な購買の促進(リテンション、リピーター獲得施策)
●メディアの効率的なプランニング・バイイング
高効率の企業経営が求められる中、マーケティングコミュニケーション領域でもROIの向上が課題となるのは自明なことであり、常に方法論の探索とトライを行っている。
パートナー企業に期待する役割・スキル
新しい知見と高い専門性。
18 昭文社

デジタルメディア事業部 DiGJAPAN!プロデューサー
鶴岡 優子(つるおか・ゆうこ)
1995年に昭文社入社。WEBマーケティング、SFA導入を経て、2009年から経営企画室。ビジョン・経営理念の刷新、戦略立案、アライアンス、広報宣伝を担当。2012年からDiGJAPAN!の前身となるアジアへのSNS運用を始める。経営学修士(MBA)。
社内における宣伝部門の役割
売上最大化のためのコミュニケーション部隊
マーケティングの役割は売上の最大化であり、宣伝も同じ役割と考えます。楽しいからこそ、過信したり手法に溺れないように、マーケティングの全体像の中での宣伝を意識するようにしています。
部門に不足していること・強化が必要なこと
海外向けメディアの経験値が少ないため、試験的に細かく出し分けて軽く数字を持ってからプロモーション計画を立てるようにしています。
2017年度に注力したい施策・領域
●商品の売上を宣伝施策で高めること
●継続的な購買の促進(リテンション、リピーター獲得施策)
●海外市場向けの宣伝・ブランディング施策
企業における広報宣伝活動がアジアデフォルトになってきている背景において、アジアで重要なSNSは経験が蓄積できました。今後、多面的・重層的アプローチするためには、SNSだけでなくアジアのマスメディア・PRについても具体策を探り、経験値を高める必要があると考えています。
パートナー企業に期待する役割・スキル
型どおりではないオーダーメイドの提案。中長期的に伴走してくれるサポート体制。
19 SUBARU

国内営業本部 マーケティング推進部 担当部長
小島 敦(こじま・あつし)
1988年 情報システム部、1991年 神奈川スバル自動車、1994年 部品用品本部国内部品部、1998年 広報部、2005年 スバル国内営業本部営業第二部、2009年 同本部 販売促進部副部長、2011年 福岡スバル常務取締役、2015年 スバルネクストストーリ推進室室長。
社内における宣伝部門の役割
お客さまとSUBARUをつなぐプロフェッショナル
グループ企業を含むあらゆる部門がSUBARUブランドの価値「安心と愉しさ」を生み出しているが、それがより多くのお客さまに伝わることで、SUBARUを輝かせることができる。
部門に不足していること・強化が必要なこと
全グループの活動を俯瞰する、社内におけるより広い視野と、変化し続けるメディア・社会・お客さまを把握し理解すること。
2017年度に注力したい施策・領域
●企業のブランド価値を向上させること
●商品の売上を宣伝施策で高めること
●デジタル/リアルの顧客チャネルの統合・一元管理 ...