前号(8月号)では、3年目を迎えた「ライオンズヘルス」の結果を振り返った。今回は、2年目を迎えた「ライオンズイノベーション」、今年新設された「ライオンズエンターテインメント」、およびインテーグレーテッド部門、サイバー部門の各部門で最高賞を受賞した作品を紹介する。
01 ライオンズイノベーション イノベーション部門 グランプリ
AIの未来を切り拓く、世界チャンピオンを破った囲碁プログラム
Google DeepMind「AlphaGo」
2014年、Googleに4億ポンド(約750億円)で買収された、人工知能の開発を行うGoogle DeepMindが開発したコンピュータ囲碁プログラム「AlphaGo(アルファ碁)」が、2年目を迎えたライオンズイノベーションのイノベーション部門グランプリに輝いた。
昨年まで「AIが人間に囲碁で勝つには、あと10年必要」と言われていたが、AlphaGoはこれを覆し、囲碁の世界チャンピオンである韓国のイ・セドル氏との対局に4勝1敗で勝利。ディープラーニング(システムがデータの特徴を学習して事象の認識や分類を行う機械学習)の大きな可能性を示す歴史的な対局と、世界中で大きな話題になった。
囲碁は、創造的・戦略的思考が必要とされる一方、人の感情や直感に影響されることが多い複雑なゲームだ。かつ、シンプルなルールだけに、打てる手数がケタ違いに多いことから、コンピュータでもすべての棋譜を覚えることは困難であり、人間に勝つのは難しいとされてきた。
AlphaGoは、Google Cloud Platformのコンピュータ資源(CPU1202個、GPU176基)を使い、約3000万にのぼるトップ棋士のさまざまな打ち手を集めて …
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