5月18日~ 24日に「カンヌライオンズ2016」が開催された。今号では、今年で3年目を迎えた、医療・ヘルスケア領域のコミュニケーションにおけるクリエイティビティを顕彰するアワード「Lions Health(ライオンズヘルス)」の結果をおさらい。「ヘルス&ウェルネス」「ファーマ」の2部門の、グランプリを含む優秀作をそれぞれ紹介する。
ヘルス&ウェルネス部門 グランプリ
低識字率がもたらす深刻な問題を、ABCソングで伝える
ピアソン「PROJECT LITERACY」
「ヘルス&ウェルネス」「ファーマ」の2部門からなるライオンズヘルス。今年は、ヘルス&ウェルネス部門には2024点(昨年は1430点)、ファーマ部門には583点( 昨年は432点) のエントリーがあり、それぞれグランプリほか各賞が選出された。
ヘルス&ウェルネス部門のグランプリに輝いたのは、英ロンドンに本社を置く世界最大規模の教育サービス会社・PEARSON(ピアソン)が、40以上のパートナー団体とともに手がけるソーシャルプロジェクト。
世界中で7億5700万人の人が、ほんの短い文章すら読み書きすることができないという現実がある(プロジェクト公式サイトには、「757 million peoplecannot read this sentence.」という文章が読めない、とある)。
「読み書きができない」ことがもたらす問題は、本が読めないというだけに留まらない。貧困や犯罪が起こりやすくなるほか、病気の蔓延をはじめとする健康問題にもつながり得るなど、世界の数々な深刻な問題の遠因となっている。
識字率の向上によってこれらの問題を解決しようとするのが、「PROJECTLITERACY(読み書きプロジェクト)」。プロジェクトでは、読み書きができないことで起こりうるさまざまな問題を、ABCの歌になぞらえて分かりやすく発信する動画を制作するなど、情報発信に力を入れている。
例えば、「A」はエイズ(AIDS)、「D」は薬物中毒(Drug Abuse)、「E」はエボラウイルス(Ebola)、「O」は過剰摂取(Overdose)といった具合だ。動画の末尾では...