地方創生でPR合戦も活況に 背景にある狙いと組織改革、そして課題とは?
国を挙げた取り組みが進んでいる地方創生。観光誘客、移住促進、企業誘致と、アプローチの仕方は各自治体によって異なるが、いずれの場合もカギとなるのが、各地の魅力を効果的に発信する広報・PR活動。その取り組みに各自治体が本腰を入れ始めている。いま日本を席巻している、空前の“PRアイデア合戦”の背景に迫る。
過熱する、自治体プロモーション
歩んできた歴史も地域性も異なる47都道府県が、あの手この手で地元の魅力や特徴をアピールしている昨今。ここではBtoCの広報・PR活動に限定し、各自治体の直近の事例を概観する。
全国自治体が2015年度下半期に展開したPR・プロモーション施策(以前より長期的に展開している施策、今後も継続する施策も含む)について、編集部でアンケートを実施。計21府県から回答を得た。回答項目は「施策の狙い」「具体的な実施内容」「パートナー企業名(広告会社、デザイン・制作会社、コンサルティング会社など)」「得られた成果(定量・定性両面から)」。
JR関ヶ原駅前にオープンした、関ヶ原駅前観光交流館「いざ!関ケ原」(上)、夜の古戦場をライトアップしたイベント“灯す「夜の古戦場」”(下)。
魅力的な観光資源を発掘し、磨き上げ、発信することに力を入れており、特に、天下分け目の戦いの地・関ケ原古戦場について、誰もが知っている場所から、訪れる場所になるよう集中的なプロモーションを実施中。
「このまち、まるごと、古戦場」を合言葉に、関ケ原古戦場の再整備と活用の指針「関ケ原古戦場グランドデザイン」を2015年3月に策定。関ケ原の戦い420周年である2020年に向けて、町と共に、ハード・ソフト両面でさまざまな仕掛けを展開している。これまでの主な取り組みとしては、観光情報の発信拠点である関ヶ原駅前観光交流館「いざ!関ケ原」をJR関ヶ原駅前にオープンしたほか、夜の古戦場をライトアップし参加者が練り歩く“灯す「夜の古戦場」”などの多彩なイベント「発信!発進!関ケ原2015」を2週間にわたって開催。また、ナポレオン最期の戦地であるベルギー・ワーテルローと、アメリカ南北戦争の地 ゲティスバーグから関係者を招いて古戦場の魅力を発信する「世界古戦場サミット」を開催。今後は、
(1)関ケ原の戦いの全てが分かる眺望施設付きのビジターセンターを整備、
(2)史跡の景観復元や眺望確保、古戦場らしい装飾を実施、
(3)観光客が周遊しやすいよう説明案内板や誘導サインを設置、
(4)関ケ原を体感できる体験ツアー商品の造成、地域資源を生かした土産品等開発の促進
などを予定している。
基本的には県と市町村が主体となってプロジェクトを推進しており、委託業者はイベントごとに必要に応じて選定。
「発信!発進!関ケ原2015」では、年間観光客数が約10万人の関ケ原古戦場に、2週間で約7万人が来訪。 …