地方創生でPR合戦も活況に 背景にある狙いと組織改革、そして課題とは?
国を挙げた取り組みが進んでいる地方創生。観光誘客、移住促進、企業誘致と、アプローチの仕方は各自治体によって異なるが、いずれの場合もカギとなるのが、各地の魅力を効果的に発信する広報・PR活動。その取り組みに各自治体が本腰を入れ始めている。いま日本を席巻している、空前の“PRアイデア合戦”の背景に迫る。
過熱する、自治体プロモーション
歩んできた歴史も地域性も異なる47都道府県が、あの手この手で地元の魅力や特徴をアピールしている昨今。ここではBtoCの広報・PR活動に限定し、各自治体の直近の事例を概観する。
全国自治体が2015年度下半期に展開したPR・プロモーション施策(以前より長期的に展開している施策、今後も継続する施策も含む)について、編集部でアンケートを実施。計21府県から回答を得た。回答項目は「施策の狙い」「具体的な実施内容」「パートナー企業名(広告会社、デザイン・制作会社、コンサルティング会社など)」「得られた成果(定量・定性両面から)」。
宮本亜門さんを起用した「KAGAWA ARTTRIP」のポスターと、要潤さんを起用した「愛にきてうどん県」のポスター。
交流人口の増加を目的に、旅行先や産品の購入先として「選ばれる香川」を目指し、本県の知名度やブランド力の向上を図る。
年度毎にテーマを設け、本県と縁のあるタレントなどを起用したインパクトがある映像やポスターを制作し、Webサイトや交通広告、多種イベントなどで情報発信を行うとともに、SNSを活用した情報拡散に取り組んでいる。
JTBコミュニケーションズ(2015年度)
県外観光客入込数が、2012年から2014年にかけて1.9%増。香川県公式観光サイト「うどん県旅ネット」の1日平均アクセス数が、2012年から2014年にかけて、約2.2倍に。
うどん県交流推進部観光振興課
サイト内で架空の鉄道が県内の産業遺産を巡るユニークなコンテンツを展開した。
「明治日本の産業革命遺産」が2015年7月にユネスコ世界文化遺産に登録されたことを契機に、構成資産である「八幡製鐵所」や「三池炭鉱」をはじめ、県内各地にある産業遺産や食、文化などを幅広く紹介し、県内各地へ誘客、観光客の周遊を図ること。
昨年11月、特設サイト「近代化特急、福岡県。BLACK EXPRESS」を開設し、その中で、「BLACK EXPRESS」という架空の特急が、サイトを訪れた方を県内の産業遺産を巡る旅に案内している。具体的には、産業遺産の歴史や価値、産業遺産を巡る旅のルート、近代化の過程で育まれた特徴的な食文化、地元のおすすめスポットなどを美しい画像や動画で紹介している。その他 …