地方創生でPR合戦も活況に 背景にある狙いと組織改革、そして課題とは?
国を挙げた取り組みが進んでいる地方創生。観光誘客、移住促進、企業誘致と、アプローチの仕方は各自治体によって異なるが、いずれの場合もカギとなるのが、各地の魅力を効果的に発信する広報・PR活動。その取り組みに各自治体が本腰を入れ始めている。いま日本を席巻している、空前の“PRアイデア合戦”の背景に迫る。
過熱する、自治体プロモーション
歩んできた歴史も地域性も異なる47都道府県が、あの手この手で地元の魅力や特徴をアピールしている昨今。ここではBtoCの広報・PR活動に限定し、各自治体の直近の事例を概観する。
全国自治体が2015年度下半期に展開したPR・プロモーション施策(以前より長期的に展開している施策、今後も継続する施策も含む)について、編集部でアンケートを実施。計21府県から回答を得た。回答項目は「施策の狙い」「具体的な実施内容」「パートナー企業名(広告会社、デザイン・制作会社、コンサルティング会社など)」「得られた成果(定量・定性両面から)」。
「週末は聖地へ」をキーワードに、9つの宿坊の協力でスタートしたキャンペーン。
高野山開創1200年で賑わった世界遺産・高野山。厳粛なイメージの高野山に、「気軽に聖地・高野山に行こう」「気軽に宿坊に泊まろう」というメッセージを、特に京阪神の働く女性に向けて発信。金曜日、仕事終わりに高野山へ向かう「週末は聖地へ~時忘れの旅~」プランを企画し、9つの宿坊の協力でスタートした。
(1)金曜日、仕事が終わってから“なんば”を出発、電車で気軽に高野山に!
(2)宿坊に夜チェックインOK(21時頃まで)
(3)2日目は宿坊での朝食と昼食が付く。レストラン探しの面倒がないため、時間をフルに使い、金剛峯寺や奥之院など高野山内を巡ったり、写経や阿字観体験で高野山の清らかな霊気の中、心静かに瞑想をするなどできる。もちろん食事は女性に優しい精進料理。
(4)土曜日のうちに帰宅。日曜日は翌日からの仕事に備えて自宅でのんびり。
恵光院(えこういん)、金剛三昧院(こんごうさんまいいん)、成福院(じょうふくいん)、総持院(そうじいん)、大明王院(だいみょうおういん)、福智院(ふくちいん)、本覚院(ほんがくいん)、無量光院(むりょうこういん)、蓮華定院(れんげじょういん)
20~30代の女性にとって、高野山は敷居が高いが、“週末は聖地へ”というキーワードで、金曜夜発の新しい旅行を提案。働く女性にアプローチした結果、開創1200年記念大法会終了後も続く高野山ブームを支える形で、高野町はもちろん、和歌山県全体で見ても …