2015年下半期 全国自治体PR活動に迫る(1)
歩んできた歴史も地域性も異なる47都道府県が、あの手この手で地元の魅力や特徴をア...
過熱する、自治体プロモーション
国を挙げた取り組みが進んでいる地方創生。観光誘客、移住促進、企業誘致と、アプローチの仕方は各自治体によって異なるが、いずれの場合もカギとなるのが、各地の魅力を効果的に発信する広報・PR活動。その取り組みに各自治体が本腰を入れ始めている。いま日本を席巻している、空前の“PRアイデア合戦”の背景に迫る。
オズマピーアール地域ブランディングチームでは、2013年を「自治体PR元年」と呼んだ。その理由は、それまでは「自治体」にとってのPRとは、主に「広告・イベント・印刷物」のことを指していたが、2013年は、PR会社を活用し、メディアを通じて自治体の情報発信をしようと大きくシフトしたからである。
自治体の情報発信事業の委託業者募集は、公募型プロポーザルが多い。その募集が増えたのがこの年である。特にPR業界が注目したのは、日本一のブランド自治体といえる京都府が、PR会社を使用して、首都圏を中心とした全国に向けて情報発信を始めたことである。
人口減少・少子高齢化時代を迎え、「地方消滅」、「地方創生」が叫ばれる今日、自治体の税収は落ち込む一方であり、産業育成・産業誘致を図るのが一層難しくなっている。自治体が税収を増やすためには、いかに「外貨」を稼ぐかを考える必要がある。観光客に来てもらい、お金を落としてもらう。県産品を広く知ってもらい、買ってもらう。そして、最終的には、「定住促進」を目指す。そうしたことから、各自治体がメディアを通じた情報発信を強化している。
自治体PRの最終的な目標は「移住定住促進」である。2014年に四国経済連合会が発表したデータによると、四国を移住先として考えた要因で最も多かったのは、「旅行などで訪れた時の印象(44%)」だった(図表1)。このように、まずは来てもらって、いい印象を持ってもらう。この旅行誘客においては、「O2O」のビジネスモデルがしっかり出来上がっている。自治体情報のテレビ・雑誌など、メディア露出を見て、インターネット検索をし、Web上で飛行機や宿の予約をする。観光庁発表「平成26年度主要旅行業者の旅行取扱状況年度総計」によると、楽天トラベルが全体で4位、国内旅行においては2位という扱い高からもわかる。そして何よりも、訪れた時の県民との交流による好印象が移住に結びつく。
このような状況であるからこそ …