日本企業においてマーケティングソリューションの導入が進みにくい要因の一つに、欧米との企業文化の違いがあると言われている。近年、グローバルで「デジタルカンパニー」へと飛躍を遂げている、コスメティックブランドのロクシタンに、企業文化とテクノロジー導入スピードの相関関係を聞いた。
ロイヤル顧客に送られるダイレクトメールと、特にロイヤリティの高い顧客「レーヌ会員」に送られる「レーヌカード」(中央)。
全世界でデータ活用を強化
南仏プロヴァンスのライフスタイルを提案するコスメティックブランド「L'OCCITANE(ロクシタン)」。世界約90カ国の主要都市で店舗を展開する同ブランドの日本法人として、1998年に設立されたのがロクシタンジャポンだ。設立以来、着実に売上を伸ばし、現在は世界ナンバー1の売上を誇るまでに成長。全国99の店舗に加え、EC、通信販売、国内線機内販売、ホテルアメニティ、カフェ事業など、多角的に販路を拡大している。
同社はここ数年、顧客データを活用したマーケティングの強化をグローバルで加速させている。「最先端のデジタルカンパニーであれ」─仏本社のレイノルド・ガイガー会長自らが旗振り役となり、各国の現地法人に対して呼びかけてきた。ロクシタンジャポン デジタルマーケティング部シニアマネージャーの安倍もと子氏は、「全社的に、デジタルテクノロジーの活用をビジネス成長の鍵と位置付けており、そのためのシステム投資も年々増えています。さらに4年前から、各国のデジタルの責任者を集めたグローバル会議も行われるようになりました。こうした組織体制も、デジタル強化の動きに合わせて整備が進められています。目的が起点となり、それにフィットしたシステムを導入し、運用しやすいように組織を柔軟に変える。こうした考え方・動き方は外資系企業の特徴と言えるかもしれません」と話す。
ロクシタンは、EC来店客のWeb会員登録(第1段階ではメールアドレスのみ)と …