広告マーケティングの専門メディア

           

マーケティングテクノロジーの自社に合った選び方

事例で見る 戦略に合ったマーケティングテクノロジーのツールを選び方

ディノス・セシール ディノス事業ディビジョン

大人の女性のためのファッションカタログ『DAMA collection』のWebページ。Webにもブランドの世界観を反映した上で、リアル店舗で買い物をしているような充実した体験を提供するのが、ディノスの理想像。

誰もが扱えるツールを選ぶ

通信販売大手のディノス・セシール。1971年創業のディノスと、同業で1972年創業のセシールが2013年7月に合併し、現体制となった。ディノス事業ディビジョンでは、“本物を装う、50~60代の大人の女性のためのファッションカタログ”「DAMA collection」や20~30代向けファッションカタログ「RULe」、インテリア・家具・収納カタログ「dinos LIVING」をはじめ、刊行サイクルの異なる20 種以上のカタログを展開している。2000年9月からはネットショップ「ディノスオンラインショップ」も開始。今ではカタログ媒体の全売上に占めるWeb比率は50%を超えている。

カタログ通販、テレビ通販、オンラインショップからの顧客の購入履歴データは、すべてデータウェアハウス(DWH)に集約している。異なるチャネル間の顧客データの一元管理に悩む企業は少なくないが、同社ではネット事業をスタートした2000年時点でデータ統合が完了していた。400以上の項目から、さまざまな切り口で売上アップのためのヒントを得られるDWHは、マーケティング部門のみならず、MD(マーチャンダイズ)部門、管理部門を含め、ほぼ全社員が閲覧することができる。どの商品を、どの属性の顧客が、何人購入したのか。特定の商品の購入動向に変化はないか─このように主体的にデータを捉えて、成果につながる施策を一人ひとりが考える、“全員マーケター”の姿勢を重視しているのだという。

「通販ビジネスとは、データベースマーケティングそのもの。登録されたお客さまの属性や購入履歴などの情報をもとに、次のニーズを分析して適切な提案を行い、それを継続的なご購入につなげていくことで利益を創出します。マーケティング部のメンバーには、データ解析の知識・スキルそのものよりも、データを読み解く切り口を考える能力を求めています。膨大なデータから、仮説を立てて必要なデータを抽出し、適切なマーケティング・コミュニケーションの施策にまで落とし込む。そのための洞察力や発想力のほうが重要です」と話すのは、営業推進本部長の佐藤京子氏。

同社は現在、EC向けのマーケティングソリューションを複数導入しているが、先述の方針の下、ツールの選定において最も重視しているのは「誰もが使える簡便さ」だという。カタログ通販会社には、統計学に高い専門性を持つスタッフが所属しているケースが少なくないが、ディノスには、そうしたスタッフはほとんどいない。「マーケティングソリューションは、『マーケターが仮説を考える上での“材料”を提供してくれるアイテム』と位置づけています。ですから、データ集計も単純集計に留め、マーケター自身が固定概念に捉われない自由な発想で、さまざまな切り口を発見できるようにと配慮しています」。

多くの社員がMD部門を経験することにも象徴されるように、MDに力を入れるディノス。商品企画、市場トレンド調査・分析、メーカーや生産工場との商品のつくり込みや価格交渉、販売後の売上管理や入出荷状況の確認と、幅広い業務を管轄するMDは、マーケティング部門と同様、顧客データから得られるヒントが多い。「データマーケティングに関わる業務全般は、マーケティング部が統括支援しています。MD部門の自由度を高めるため、彼らにとっても使いやすいツールを導入し、環境を整えることを重視しています」と佐藤氏。

効果が出なければすぐに変える

効果が出なければ、リプレイスする。機能過多なソリューションは避け、実施したいことに合ったミニマルなツールを導入し、トライ&エラーを繰り返す。最近では、ASPツールを積極的に活用しているという。

「品揃えの点では、もはやAmazonにはかないません。ディノスは、カタログ通販からスタートしたバックグラウンドを生かして、商品のセレクションや見せ方で差別化したいと考えています。特定のライフスタイルを提案するブランドとしての価値を高め、それに共感してくださるファンを増やしていきたい」と佐藤氏は話す。ブランドごとに制作しているカタログの世界観を、サイトにも反映し、そこでのブランド体験の質を向上させる─そのためには、サイト訪問客一人ひとりに対して、最適のタイミングで、最適な接客を行い、まるで実店舗で買い物をしているかのような充実した体験を提供する必要がある。そこでは、マーケティングソリューションの活用が不可欠だ。

ベンダーからの各種ソリューションの提案を集約 …

あと37%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

マーケティングテクノロジーの自社に合った選び方 の記事一覧

異なるカーライフの顧客一人ひとりに最適な情報やサービスを届ける
事例で見る 戦略に合ったマーケティングテクノロジーのツールを選び方(この記事です)
なぜ日本企業はテクノロジーを使いこなせないのか? 日本と欧米の企業文化の違いを考える
データ統合の視点の欠如で“パッチワーク化”するテクノロジー
時代はワントゥワンのマーケティングへ─テクノロジーの活用が不可欠に

おすすめの連載

特集・連載一覧をみる
宣伝会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する