世間で話題になるキャンペーンは、どんな風に実現したのか?誰もカタチにしたことがない企画の裏側を公開します。
3月12日に行われた発表会では、ネスレ日本・高岡浩三社長がマーケティング戦略を紹介。商品開発を手がけた洋菓子店シェフ・高木康政さんが「焼いて食べるキットカット」を実演した。
プレミアム戦略の最終章
「きっと勝つと」のジンクスで、受験生を中心に幅広い支持を得たネスレのチョコレート菓子「キットカット」。エモーショナルな価値でブランドを向上させた好例としてマーケティングの大家、フィリップ・コトラーが称賛し、昨年、日本での発売40周年を迎えたロングセラーブランドがいま、プレミアム戦略で快進撃を起こしている。
現在までのプレミアム戦略は2軸ある。ひとつは2014年1月、西武池袋本店(東京・豊島)にオープンした高級志向専門店。ネスレ日本・高岡浩三社長は3月12日、「売上1億円に達する見通し」を示している。もうひとつは2010年にスタートした「キットカット オトナの甘さ」シリーズ。こちらは13年度のキットカット全体の売上の3分の1を占める。
そして3月12日に発表となった「キットカット ミニ 焼いておいしい プリン味」は、高岡社長が「プレミアム戦略の最終章、ブランドの大きな軸」と自信を見せる新商品だ。
新商品では「キットカット」を家庭のオーブントースターで焼く新たな食べ方「焼きキットカット」を提案する。そのままでも食べられるが、焼くことで食感や風味が変わる。1000ワットのオーブントースターで2分~2分半程度、表面にキツネ色がつくまで焼くと、焼きプリンのような香ばしいフレーバーに、食感もサクサクとしたクッキーのようになる。3月24日に、全国スーパーで発売した。価格は13枚入りで500円(税抜)。
「焼きキットカット」は前述の専門店「キットカット ショコラトリー」の成功をステップとしたマスリテール商品。高岡社長は「5~10年先を見越したプレミアム戦略にはずみをつけたい」と意気込む。一般にチョコレート商品の売れづらい夏場でも、焼けばチョコが溶けず、ベタつきにくくなるため、「夏季の売れ行きを押し上げるはず」と期待を寄せた。