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事例に学ぶ「マーケティングPR」

開発者の熱がメディアにも伝播した「パキット」の広報戦略

永谷園

発売2カ月で100万食超を出荷し、2023年11月中旬までに売上約260万食を突破した永谷園のパスタソース「パキット」。“ゆでないパスタ”というタイパを意識したこの商品を同社の広報ではどのように発信したのか。

永谷園は2023年3月13日に、電子レンジ調理のみでパスタが完成するパスタソース「パキット」を発売した。「パキット」は、市販の乾燥パスタを2つに折ってソースが入った袋に入れ、水を加えて電子レンジで加熱。そのまま電子レンジの庫内で蒸らし、最後に袋の中で麺とソースを混ぜ、13分で完成する(メニューによってレンジ調理と蒸らし時間は異なる)。通常パスタをつくる場合、鍋で麺をゆでたりソースを温めたりと手間がかかるが、「パキット」では鍋も不要なため洗い物も減るという、タイパを意識した商品となっている。

社内にあるストーリーを整理

マーケティング本部の酒井繁氏は、「パキット」の広報活動を行う上で最初に注力したのは、商品の企画背景や開発秘話といった社内にあるストーリーを整理し、広報として発信するベースづくりを徹底して行うことであったと話す。

「『パキット』は、開発者の着想や開発に至るまでの経緯などが社内の人間から見ても非常に魅力的な商品でした。このストーリーと生活者自身の気持ちとをリンクさせることができれば、商品の特徴や価値も伝えられると感じたため、まずは社内にある情報を整理し、広報の基盤をつくりました」。「パキット」は、商品開発を担当したマーケティング企画部の三田友理恵氏が、仕事で疲れて帰宅した際に「パスタを食べたいが、ゆでるのが面倒」だと感じ、自分自身も「ゆでないパスタ」がほしいという気持ちからスタートし、1000回を超える試作の末、誕生した商品。いち生活者の視点に立った三田氏の思いから生まれた商品だからこそ、このストーリーを生活者に届けたいと考えたと酒井氏は話す。

開発秘話は広報PRメディア『PR TIMES STORY』『PR TIMES TV』で掲載したほか、「パキット」のブランドサイトにも三田氏本人が語る開発コンセプトムービーを配置した。

開発コンセプトムービーでは「パキット」の開発に携わったメンバーが、商品に対する思いや、開発における苦労などを語っている。

“体感”を重視した商品発表会

さらに、これらのストーリーをメディアに向けて直接発信するために、同社は発売前にウェブメディアを中心に招待をし「『パキット』新商品発表会」を開催した。

「私たちが想定していた『パキット』の主要ターゲット層は“働く女性”でした。ターゲット層は日頃、SNSなどのオンライン上で情報探索を行うことが多いとの仮説から、今回の発表会はウェブメディアの方を中心にお声がけしました」と広報部の石井智子氏は話す。

発表会でも開発にかかわるストーリーを熱量高く伝えるため、三田氏や品質開発を担当した研究開発部の篠原由加里氏が登壇してディスカッションを実施。また、「パキット」の特徴である“タイパ”を記者にも体感してもらうための工夫も行った。

「『パキット』の調理時間は電子レンジでの加熱プラス蒸し時間の計13分です。実際にメディアの方にも...

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