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事例に学ぶ「マーケティングPR」

世の中の関心事に応じて施策を展開「酒ガチャ」にBtoBサービスが登場

KURAND

ランダムで酒が届く「酒ガチャ」サービスを運営するKURAND。ユーザーからのニーズや世の中の状況に柔軟に対応した施策で、メディアからの注目も集まる同社に、サービス展開や情報発信に関する考えを聞いた。

クラフト酒を販売するECサイト、オンライン酒屋「クランド」を運営するKURANDでは、ランダムで数本の酒を届けるサービス「酒ガチャ」を2019年から提供している。2023年7月には「酒ガチャ」において、新しくBtoB向けサービスも開始。同社では、世の中の関心の変化に柔軟に対応し、求められるサービスを提供することで持続的に注目を集めている。

酒の購入体験を楽しくするガチャ

オンライン酒屋「クランド」は、若年層を中心とした「酒離れ」の進行により、酒の出荷量が落ち込むことで年々減少傾向にある酒蔵の酒を、もっと多くの人に知ってもらいたいとの考えから誕生したECサイト。日本全国200社以上の酒蔵とパートナーシップを結び、日本酒、梅酒、果実酒、リキュール、焼酎、ワイン、プレミアムサワーベース、クラフトビールなど、450種類を超えるオリジナルの酒を販売している。

同社では2018年から年始にランダムに酒を詰め合わせた「初売りKURAND福袋」を販売していた。

当初、福袋の販売を行っていた経緯について、同社広報担当の遠山彩華氏は次のように話す。

「ECや店舗などでお酒を選べるのは、比較的お酒が好きな人が多いと思います。お酒を飲んだことがない人、飲めるけど飲む機会が少ないという方は、どのお酒を選べばよいのか迷ってしまう。出荷量を増やすためには、飲酒機会の少ない人にお酒を好きになっていだく必要があります。当社ではお酒になじみのない方にも興味を持っていただくことを目指したオリジナル商品を開発してきましたが、この課題を解決するためにはそれだけでは不十分であり、従来とは異なる販売方法が必要だと考えました」。

そこで同社は自身で選択をする必要がなく、手軽に購入できる「福袋」を販売。それを購入した複数のユーザーが、「“ガチャ”みたい」とSNSで投稿したことから、2019年に「酒ガチャ」という名称に変更し、2020年からは年始以外の時期にも販売する常備商品として「酒ガチャ」を販売している。

「酒ガチャ」は450種類を超えるクランドオリジナルのクラフト酒の中から、プランに応じた本数の酒がランダムで届くサービス。同社では「アイスクリーム専用の酒」や「宇宙を旅した米と酵母を使った酒」など独創性やストーリー性のあるお酒を開発している。

コラボ企画でファンを拡大

サービス開始時は、「酒ガチャ」という名称がSNS投稿から生まれたこともあり、「SNSと相性のよいサービスなのでは」という仮説のもと、「#酒ガチャ」を付けた投稿をユーザーに促す発信をするなど、SNS上でのUGCを生む施策に注力。その後第2フェーズとして、漫画家を起用してPR漫画を投稿してもらう施策を実施したところ、その中のひとつの投稿が1.8万いいねを獲得して話題に。この投稿により、「酒ガチャ」の販売数量は約3倍に増加したという。

「酒ガチャ」を含む同社の販売数量は順調に伸長していたものの、酒類業界はコロナ禍による...

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