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話題を生み出す情報発信のアイデア

ニュースバリューの高いネタを社内で発掘 パブリシティが増える企画に仕立てるには

片岡英彦氏、長沼史宏氏

「広報企画」に関する本の著者が、パブリシティが増える情報発信の方法をアドバイス。社会課題の解決に関連するニュースバリューの高い情報、旬なテーマにアレンジできるネタが社内に眠っていないだろうか。今一度見渡してみよう。

2024年のホットワード

─2024年に報道される可能性の高いテーマは何でしょうか。

長沼:全体論としては、日本は大きく経済成長をしていくフェーズから、成熟社会に移りいかに現状を守っていくかという状態にあります。「人手不足」「少子高齢化問題」は喫緊の課題。企業としてこれらにどうコミットしていくのかは、常にホットな話題です。

瞬間的なものとしては物流、建設、医療の「2024年問題」に関連した施策があります。また行政はIT基盤「ガバメントクラウド」の整備を進めており、DXに向けた大きな流れがあります。いかに業務を効率化し、人手不足などの課題解決に寄与して、社会全体のベネフィットを提供しているかを伝える広報活動が特にBtoB領域で有効だと思います。また「働きやすさ」「ソーシャルグッド」の観点もあります。例えば、賃上げをして働きやすい環境を実現しようとする企業姿勢には社会の共感が集まりやすい。積極的な施策や取り組みを発信すれば、パブリシティを獲得するだけでなく、採用志望者の増加などの効果を生み出すのではないでしょうか。

片岡:今年のキーワードは2023年に起きたことの中に潜在的にあり2024年に花開く、もしくは問題として浮き出るものだと考えています。ちなみに僕は毎年、紅白歌合戦に出てくるものを分析しながら1年を振り返り、次の年がどうなりそうか書き留めています。

前年から継続して社会的な関心が高まりそうなのが、各業界にAIがどう浸透していくか。ITが発達してきた頃と同様に、AI技術が金融や医療、教育、エンターテインメントと多様な分野に浸透し、あらゆる企業にとって無視できないテーマになっていくでしょう。AIによる自動化だったり、パーソナライズされたサービスだったり、事業とAIを関連づけた広報活動が展開されていくはずです。今まで人の頭で判断していたことをAIが行うようになれば倫理の問題への関心も高まっていきます。

一方、コロナ禍の不安な状況からアフターコロナになって、少し前向きな雰囲気が漂ってきたところに、海外で戦争が起き、年明け早々には能登半島地震がありました。こうした社会の出来事を自分事として捉えている生活者も多いはず。これまで以上に社会問題を背景とした広報活動は重要になり、報道においても、環境やメンタルも含めたウェルネスといったテーマが取り沙汰されてくると思います。

─メディア向けセミナーを開く場合、テーマ決めのポイントは。

長沼:タイミングです。たとえば2024年問題なら労働時間の規制は4月に始まるので、その1カ月半前くらいにセミナーを開きたいところ。報道の機運は半月前くらいから高まるので、メディアにはその時期を見越して早めにインプットしておく必要があります。タイミングよく発信するためにも法改正等の年間スケジュールを把握しておくことが大切です。

「可視化」する広報の力

─社会的な関心事と自社の関わりをどう発信すればいいでしょうか。

片岡:メディアにのせる、オンラインでより多くの人に自然拡散されることを狙うには、広い意味での「可視化」が必要になります。人が頑張っている様子や行列ができるといった分かりやすく可視化しやすい現象があればいいのですが、さきほどお話ししたAIやデジタル技術のように、企業が向かっていくトレンドは可視化が難しいものも多くあります。ソーシャルグッド的なことも、地味でもコツコツ良いことを長く続けるのは社会の流れに沿っているのですが、目立たない。そこをどう「新しい」と感じてもらうか、「ホットなニュース」として伝えていくかについては、「データの裏付け」や「ファクトベース」で従来との違いを見つけ出していくことが必要になります。

今まで広報担当者の勘でやっていたところを、データドリブンで可視化して、例えば「便利な機能のアプリ」ではなく「残業をなくせるアプリ」というように魅力を伝え、独自の売りの提案につなげていく、付加価値を伝えていくということです。こうした考え方はマーケティング思考そのものですが、広報担当者にも必須になっています。

長沼:商品機能やスペックにフォーカスしていた文言に、そこから得られるベネフィットを加えると伝わり方に違いが生まれますね。片岡さんは著書『成果を出す 広報企画のつくり方』で、「残業をなくすアプリ」の例のようにアレンジの仕方をビフォー・アフターで分かりやすく解説されていますが、お茶の間にも届きやすくなる情報のアレンジ力、プロデュース力は本当に大事だと思います。

メディアの関心事に絡めた新商品がタイミング良く出せれば一番いいのですが、そんなに都合良くもいきません。そこで私の好きな方法が「状態」や「熱量」をネタにすること。「今AIコンサルサービスの受注が前月比で◯◯%も急増しています」のように変化率などの数字を示せる状態や熱量をネタにします。こういうネタの見つけ方をよく聞かれるのですが、私の経験をご紹介します。

ある日、販売動向をチェックしていたら、ある製品が異常に売り上げを伸ばしていたので、調べたところ、当時メディアで連日話題になっていたPM2.5対策が理由だった、ということがありました。データから見える自社の変化に気づく注意力も大切だと思います。

データで裏付け広報情報を魅力的に「可視化」していく

図1 社会性のある企画にアレンジするコツ
企業関連の情報をメディアに持ち込む際には、いきなり自社商品の長所を伝えるのではなく、「社会的な意味(ストーリー性)」がある情報だということを、しっかり示したい。『成果を出す 広報企画のつくり方』(片岡英彦著)ではこうしたアレンジ例を紹介している。

アウトプットから逆算する

片岡:自らネタに気づくことが大事ですね。事業部や各支店、営業所から上がってくる情報だけでなく、広報担当者が自ら情報を発見し企画を創造する機会をつくれるかどうか。これは、広報部門がさらに発展していく上での肝になると思います。そのためには、長沼さんの著書『先読み広報術』のタイトル通り、どういう露出をしたいのかというアウトプットから先読みして、そのために必要なものを考えていくことになります。

大学でゼミ生の企画を指導していると、とにかくメディア露出をしたいからあちこちのメディアに...

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