2015年のテレビ放送60年を機に、企業ブランディングを本格化したTBSグループ。理念やブランドプロミスの社内浸透を目的に、人気番組『オールスター感謝祭』を社員向けイベントにアレンジして開催している。自社が持つ資産を活用した社内コミュニケーション事例に迫る。
自社の持つ資産を社内コミュニケーションに上手く活かすと、参加者が親しみやく、企業独自の施策になる。その事例のひとつが本稿で紹介する「オールTBS感謝祭」だ。
TBSグループでは2022年春から同社の人気テレビ番組『オールスター感謝祭』をTBSグループで働く人に向けた社内イベントとしてアレンジした「オールTBS感謝祭」を半年に一度開催。2023年4月7日に第3回を実施した。「オールTBS感謝祭」は、『オールスター感謝祭』の放送前日のリハーサルの合間に30分ほどの時間で行われる。
グループに勤める全社員が参加対象であり、TBSグループに関するオリジナルクイズ10問が出題されるという。第1回、第2回はコロナ禍を鑑みて、オンラインで開催。第3回は、制限人数付きでスタジオにも社員を招待し、オンライン&オフラインのハイブリッド型で開催された。

社内イベント「オールTBS感謝祭」の様子。番組リハーサルの合間に、セットを使用して実施。司会は今田耕司と島崎和歌子。
番組だけでなく企業ファンに
「オールTBS感謝祭」は、TBSのブランディングやグループ各社に対して興味を持ち、理解を深めてほしいとの思いで企画されたイベント。担当するのは、TBSホールディングスのブランドコミュニケーション戦略部だ。
2021年に新設したこの部署は、アウター、インナーへの企業ブランド戦略を組み立て実行することがミッション。広報経験者やセットデザイナー、コーポレートブランディングの経験を持つキャリア入職者など、様々な経歴の10名で現在は構成されている。
同社は2015年にテレビ放送60年を迎えた際、周年記念番組の放送やキャンペーンなどを実施。このような施策に取り組む中で、「TBS」というコーポレートブランドを打ち出す必要性が再認識されたという。「番組の視聴率向上などだけではなく、『TBSの』あの番組が好き、と言っていただける存在となっていかなければ、企業として長期的に成長していくことが難しくなると考えました」とブランドコミュニケーション戦略部の内山真理子氏は話す。
2020年には企業理念に加え、ブランドプロミス「最高の“時”で、明日の世界をつくる。」を策定。ロゴもブランドプロミスを体現したデザインへと刷新した...