多様な価値観を持つ従業員を採用しつつ、一体感ある企業文化を浸透させていくためのポイントとは。LayerXが実践する「従業員の行動」を起点としたアップデートし続ける文化の浸透法と、「全員広報」の意識について、人事・広報部 執行役員の石黒卓弥氏が解説する。
スタートアップ企業やベンチャー企業では、事業のフェーズにあわせて従業員数が急増する時期もある。そのような時期には、企業の成長に沿った新しい人材の確保と、それに伴う制度の改革を行いつつ従来築き上げてきた風土や文化を浸透させるという、多様性と一体感のバランスをとることが必要となる。
法人カードやSaaSを提供するスタートアップ企業LayerXは、すべての経済活動のデジタル化を目指し2018年に設立。請求書処理、経費精算、稟議申請、法人カードなどの支出管理を一本化するサービス「バクラク」などを提供する。
組織が中長期的に成長するには、多様な人材が必要との考えから、2021年に、「社会に提供したい価値」と「その価値を生み出すための私たちの組織のあり方」をまとめた「LayerX DE&I Policy」を公開した。
多様な働き方を支援する制度
「LayerX DE&I Policy」公開と同年に「働き方」に対する制度の導入も開始。フレックス制やリモートワーク制などを導入したほか、育休制度についても整備を進めており、「入社1カ月で育休が取得できる」といった独自の制度や、復帰後のベビーシッター派遣事業の活用など、柔軟な対応で従業員のライフスタイルをサポートしている。
「当社では『この先、長く活躍してほしい』との考えで、入社直後から育休を取得可能にしています。過去にも入社1カ月で育休を取得したメンバーはいましたし、昨年も10月に入社して11月に育休を取った男性従業員がいて、実用される制度となっています」と、人事・広報部の執行役員を務める石黒卓弥氏は話す。
代表取締役の福島良典氏、松本勇気氏が育休を取得した事例もあり、従業員の中でも育休を取得する文化が浸透。男女問わず、従業員の約1割強である20人ほどがこれまで育休を取得しているという。
「ライフステージにあわせたサポートは会社として行っていきたいと考えていますが、『育休を取ること』や『取得率100%』などが目的ではありません。育児に対する周囲のサポート体制や事情は人それぞれ...