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炎上したら「企業の姿勢」をどう伝えるか、ネットニュース取材対応もひとつの手段に

吉野ヒロ子(帝京大学)

SNSでの批判がネットニュースやまとめサイトに取り上げられ、さらに拡散。そんなとき、いかに自社の姿勢を示せばいいのか。企業発の公式声明と、その伝わり方を考察しながらメッセージを発信する手段について考えます。

炎上とは、ソーシャルメディアで批判・攻撃的な投稿が急速に広がることを指します。ネットニュースで報道されるそれなりの規模のものなら、ここ数年、年間100件以上のペースで発生しています。

企業の炎上には図1のようなパターンがあります。業績や株価への影響が大きいのが、バイトテロと製品やサービスに対する消費者告発。近年頻発しているのが、広告などのマーケティング・コミュニケーションへの批判です。

❶バイトテロ
2013年・2019年に頻発

❷製品やサービスに対する消費者の告発
東芝クレーマー事件(1999年)、PCデポ炎上(2016年)など

❸広告などマーケティング・コミュニケーションへの批判
ルミネウェブ動画(2015年)以降、ジェンダー表現への批判が高まった事例が多い。「シャープ製品(※「シャープ」公式とは別アカウント)」(2017年)、「アツギ」(2020年)など、Twitterの企業公式アカウントによる投稿が批判され、運用を停止した事例もある

❹経営者・役員などの言動に対する批判

❺ハラスメントに対する社員の告発

図1 企業炎上 5つのパターン

企業の姿勢を伝える方法

炎上した際、企業としてどう批判を受け止めているのか、なんらかの姿勢を示さなければなりません。謝罪の仕方など危機対応は別の稿に譲るとして、ここではメッセージを発信する「手段」について考えてみたいと思います。

炎上後、国内でよく用いられる方法を、軽い順に挙げると ❶Twitter公式アカウントなどソーシャルメディアへの投稿 ❷公式サイトのニュースリリース ❸公式サイトトップページでの告知 ❹記者会見となるでしょう。国内企業ではあまり例がありませんが、海外ではCEOなどが謝罪動画をYouTubeで公開することもあります。グルーポンすかすかおせち事件(2011年)では、米グルーポンCEOが日本の消費者に対して謝罪と再発防止を約束する動画を公開しています。もちろんこれらの手段を重ねて用いることもできます。

ただし、これらの発信が、炎上に関する盛り上がりの中できちんと共有されるかというと、そうとは限りません。

PCデポ炎上(2016年)に関するTwitterの投稿データ(約1カ月間・約60万件分)を収集し、外部情報へのリンクを含む投稿を...

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