コロナで外出自粛を余儀なくされた人々に少しでも喜んでもらいたい―。その一心から始めたクラブハリエ社長のSNS施策が注目を浴びている。さらに、SNS機能をフルに活用し、ファンとのエンゲージメントの“質”を変えた本事例を取材した。
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バームクーヘンはじめ洋菓子の製造・販売を行うクラブハリエ。同社のSNS施策が地元紙に載るなどの注目を集めている。
内容はこうだ。2020年5月、コロナ下に同社のパティシエらがInstagramのライブ配信機能を使ってユーザーと商品開発を開始。中身の菓子からパッケージまで、ユーザーの意見を取り入れつつ完成させた「ピスタチオサンド」は、同年10月1日のオンライン限定先行販売では即完売、好評を博した。
「チョコ部」の誕生
本施策「チョコ部」の背景は。同社代表の山本隆夫氏はこう説明する。「昨年5月、コロナで全店舗閉鎖に追い込まれ、言ってみれば何も営業活動ができない状態でした。そこでせめて、お菓子からファンの方々の心が離れないよう、またこういう時期だからこそ少しでも皆さんの気晴らしになれば、とインスタライブでお菓子づくりの動画などを配信していました」。
そんなライブ中の、「皆でお菓子を開発しませんか」という何気ない提案がチョコ部発足のきっかけになった。話は進み、つくった菓子は商品化、販売することになった。
「ロゴやパッケージに関し意見を求めると、『こっちの方が良いと思います』など、ファンの方々は真剣に答えてくれました」。ファンと共に何かをつくりあげる―。愛着を深める取り組みだが、企画を進める上で懸念はなかったのか。「周りの従業員も当初は疑っていました。『統制が取れず、プロジェクトがあらぬ方向に進んでしまうのではないか』と」。
実際、SNS上での注目を受け、テレビでチョコ部が取り上げられた際にはその反響がインスタライブに...