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リスク広報最前線

ステマへの規制が強まる中、「言わせない」水際対策が肝心に

浅見隆行

複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。

問題の経緯

2021年1月21日

Web上での口コミが消費者が商品・サービスを購入するかの重要な判断材料となっている今、ステルスマーケティングへの警戒感も強くなっている印象だ。

©123RF.COM


化粧品メーカーのオルビスは1月21日、同社の従業員が個人のSNSアカウントから、同社に所属していることを明記せずに商品紹介を行っていたことを謝罪した。当該従業員は、美容系インフルエンサーとして主に化粧品やアクセサリーなどを投稿する中で、同社やグループ会社のポーラの商品なども紹介していた。投稿画像で着用していた服や、プロフィール写真が同社に所属するPR担当者と一致していたことから、同一人物である疑惑が浮上。SNS上で批判の声が相次いでいた。

化粧品メーカー、オルビスの従業員がTwitterとInstagramの匿名アカウントで自社及びグループ会社であるポーラの商品紹介を繰り返していたことが判明。2021年1月21日、オルビスとポーラがそれぞれ謝罪の声明を公表しました。このケースは、従業員によるステルスマーケティングの疑いが以前から指摘されていたこともありネット上で注目を集めました。

今回はこのケースを題材に、①プライベートでのSNS利用とステルスマーケティング、②グループ会社で発生した炎上事例に対する危機管理広報対応の2点について検証します。

ステマ疑惑に対する広報の2つの切り口

ステルスマーケティングを疑われた理由は、オルビスの社員であるにもかかわらずその身分を明らかにしない匿名のアカウントで、オルビスとグループ会社であるポーラの商品を高評価する投稿を繰り返していたことに加え、投稿していたのが、フォロワー数が約3万9000に達する人気アカウントだったことにあります。

こうした疑惑を指摘されたときの企業の広報対応の切り口は2つあります。ひとつは、従業員が社内のSNSの運用ルールに違反していたことにフォーカスする方法、もうひとつはステルスマーケティングではないと正面から対応する方法です。

オルビスは謝罪声明において、「SNS投稿における社内ルールを徹底させることができていなかったこと」と、社内ルール違反にフォーカスしています。同時に、オルビスが主体となってステルスマーケティングをしていたのではないかという疑惑に対しても、冒頭で「お客様ならびに関係者の皆様にご不審の念をおかけいたしましたこと、深くお詫び申し上げます」と伝えています。

これに対して、ポーラは「グループ会社社員であることを認識しておりませんでした」「ご不審の念をおかけいたしましたこと、お詫び申し上げます」との声明を発表しました。ポーラが主体となってステルスマーケティングをしていたのではないかとの疑いに対する否定だけにフォーカスした広報であることがわかります。

どちらの手法が正しいということは一概には言えませんが...

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