編集部が、広報関連部門に行った調査では、動画活用を「強化した」「例年より予算を増やした」といった声が届いている。広報活動において、動画はどのような活用のされ方をしているのか。
広報関連部門(117社)に行った調査で、前年と比較し大きく伸びを示したのが「PRイベントや記者会見の動画配信への関心」だった(図1)。リアルイベントの中止やコロナでの対応で、急きょライブ配信、アーカイブ配信を決めた企業が多い。だが、実施企業からは「参加メディアが増えた」などポジティブな意見が寄せられている。
リアルを補完する動画
一方、メディア対応においては、リモート取材が増え、「実際に商品を触ってもらえない」といった事態も起きている。そんな時、動画コンテンツの用意があれば、記者の理解促進に役立つ。「正しい情報発信、望ましい形での露出につなげるため、動画活用を検討したい」という声も届いている。
動きのある映像と音が組み合わさった動画は、目を奪われやすく、興味のない人に対しても短時間で関心を集めるのに向いている。社内のコミュニケーションにおいても、動画の活用が進んでおり、社内向けの動画については、約6割が関心ありと回答した(図2)。オンラインによる社内集会や、社内報としての動画配信などがなされている。
社内広報における動画
「リモートワーク推進下でも、多くの従業員にスピーディに情報を伝達したい」「対面で会えない中でも従業員エンゲージメントを維持したい」といった広報担当者たちは、動画を含めた積極的なコミュニケーション活動に挑んでいる。
例えば、トップが従業員に語り掛ける動画は、声の強弱や雰囲気なども含め、感情が伝わりやすく、対面感も出る。もちろん、画面上で長時間の演説をしても、見ている側の集中力は切れ、離脱が起こりやすい。尺を短くする、内容を補足する映像を挿入する、など工夫は必要だ。
存在価値を再発見する動画
調査で特徴的だったのは、「コロナ下において、自社ができることは何か、を考え社会的な取り組みを強化し、その発信に力を入れた」といった、企業の社会的な存在意義を見直す動きだ。先行きが不透明な事業環境においては、こうした機会が、特に求められる。従業員が、自社の存在価値を改めて深く考え、自律的に仕事をしたくなるモチベーションが高まれば、それは企業ブランディングに...