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IRの学校

アフターコロナの新しいIR様式【前編】

大森慎一(Prop Tech plus 監査役)

広子たちはIR担当として、忙しくも刺激的な日々を送っている。新型コロナへの対応もようやく一段落したが、コロナ以前とは大きく様変わりした「新しいIR様式」について改めて整理してみることとなった。



広子東堂:こんばんは。

大森:こんばんは。コロナ対応もだいぶ落ち着いてきたかな?

広子:まあまあでしょうか。相変わらず先は見えませんが、市場変動が比較的落ち着いているようにも見えるので、気持ちも少し楽になっています。

東堂:私は、経験などに裏付けされた自信みたいなものがなくて、まだ何かあるんじゃないか、と落ち着きませんけどね。

大森:まあ、経験というより感受性の問題というか。

広子:私が楽観的過ぎるとでも?

大森:そうは言わないよ、バランス取れて、いいコンビかもね。

広子:それは認めますね。ところで、大森さんは緊急事態宣言の有無にかかわらず、自宅警備員ですか?

大森:まあ、リモート継続だけど、引き籠りみたいに言わないでよ。

東堂:ははは、当社は少しずつ、出社増えてきています。チームごとに交代で出勤したり、朝も時差出勤だったり。その分、勤怠管理もチームで共有が進んだり、会議も自席からオンラインでつないだりと工夫をしながら、以前の環境に戻すというよりは、やはり「新しい生活様式」に沿ってビジネス様式を模索するという流れですね。

大森:なるほどね。じゃあ、今日は新型コロナに対応した「新しいIR様式」に関して、ブレスト的に考えてみようか。

広子:おおっ!いいですね、前向きな響きがしますね。

新型コロナ対策の振り返り

大森:まず、新型コロナに対応して自粛・自宅勤務が続いた頃から今までのビジネス環境を少し振り返ってみよう。何か気がついたこと話してみてよ。

広子:そうですね。IRに直接というわけではないのですが、決算作業や監査対応が想定以上に大変だったというのがありますね。

東堂:訪問を避ける中での棚卸実査は困難だったと聞きました。書類閲覧などの代替手段も併用したようですが、「ネット会議をつないで、実地棚卸を試みた」なんて話も聞きました。

広子:いつもなら、帳票や書類を山積みにした会議室を用意して、監査してもらうのに、今回はその資料をPDF化して原本証明つけて、送付するのが地味に大変だったと。

大森:元々のデジタルデータはあっても、そこには判子、印章が押されていないものね。

広子:ハンコ問題か・・・・・・結局出社しなきゃいけなかったなあ。それはそれで息抜きにはなったけど。

東堂:IRで言えば、新型コロナウイルスの影響が結局のところ、整理しきれていないので、決算短信の業績予想も未公表となりました。株主からの問い合わせが増えても、具体的にお話しすることが少なくて、結果、謝罪するだけなので、精神的にきつい面がありましたね。広子姉さんの笑顔がそばにないと、回復が遅くて。

広子:おお、東堂、そんな話初めて聞いたわよ。私って癒しだったのね。

大森:おっほん。自宅だとオフィスのざわざわ感ないものね、孤独感はあるかもね。IR説明会などはどうだった?

広子:そうですね、会社説明会も個別の1on1ミーティングもオンラインに切り替えましたが、「やってみた」止まりで、まだしっかりとした手ごたえは感じませんね。社長にも参加いただきましたが、座っているので、動きが少なくて逆に落ち着かないとおっしゃっていました。

大森:会社説明会や1on1は、オンラインがスタンダードになる可能性が高いね。物理的な距離や移動時間の制約もなくなり、参加者層が変化する可能性もあるし。ニュアンスや非言語コミュニケーションで誤魔化せないし、録音録画が残る可能性があるから、これまで以上に準備をしないと。

東堂:なるほど。株主総会はどうですか?継続会やハイブリッド型バーチャル株主総会など行政が選択肢を様々準備したわりには、大きな変革は少なかったような気がしますが。

大森:そうだね。ハイブリッド型はIT企業を中心に数社程度、延期が40社程度、継続会が20社程度と聞いたね。でも、選択肢を明示されたから、延期や継続会も実施しやすかったと評価するけどね。

東堂:結局のところ、分からない不明なものを先送りした感があり、整理がつかない状況ということでしょうか。

大森:先送り、という言い方は正解かな。ならば、この夏に、しっかり準備しよう。

広子:よしっ!・・・・・・って、何をすればいいでしょう?

大森:そうだね、まずは、先送りした課題の解決といきたいところだけど、新型コロナ感染症に関しては、まだ流動的で見通せないから、先送りしたまま対症療法として、オンラインミーティングが主流となったIR活動の見直しだね。

オンラインMTGの準備

大森:まずは、出社した環境でしかできない準備がないかの確認だね。

広子:具体的には何ですか?

大森:他社などと意思疎通を図るため「プロトコル」の整備かな。

東堂:プロトコル?ネット通信の?

大森:そうだね。コンピュータ通信の概念に例えたけど、ビジネスでもある一定のルールで対話が成り立っているから。それがオンラインになって阻害される部分があっては困るから。

東堂:なるほど。逆に...

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