「つっぱり棒」製造のトップシェアメーカー平安伸銅工業(大阪市)。社長自らが「つっぱり棒博士」としてメディアに出演し、売上180%アップのV字回復を実現した。
「約9割の人がつっぱり棒の使い方を間違っている」。平安伸銅工業(大阪市)は、テレビ番組の街頭調査などの統計データから、こんな数字を導き出した。そこで、2015年に3代目社長に就任した竹内香予子氏が、つっぱり棒の正しい使い方や活用法を広めようと“つっぱり棒博士”として女性誌やテレビ番組で活躍している。
その効果もあり、一度落ち込んでいた業績は、竹内社長就任前の約14億円から約31億円(2019年6月20日決算時)にまでV字回復した
広報新設でメディア露出増
収納用品を製造する同社の主力製品はつっぱり棒。トップシェアを誇る一方、市場が飽和状態で大幅な成長を見込めないことが課題だった。
そこで、竹内社長は2017年1月に広報部門を設置。商品開発担当だった内藤紗希氏が兼任していたが、6月に専任広報となり、本格的に立ち上げを担った。内藤氏は「それまでは年間十数件のメディア露出があった程度でした。それも業界紙の事業継承ネタでの取材や雑誌の収納企画ページで商品が小さく紹介されるような小枠が中心だったので、大きな露出を狙っていこうとリリース作成やメディアリレーションズに力を入れました」と振り返る。
同社が“絶対に出たい”と過去にも何度か売り込みをしていたのが『WBS』(テレビ東京)のコーナー「トレンドたまご」。内藤氏は他社の広報担当者との横のつながりをつくり、アドバイスを受けながら再度アタック。その結果、2017年3月15日に当時の新製品「DRAW A LINE(ドロー ア ライン)」が紹介された …