オンラインの情報流通構造が複雑化し、広報の手法も変化しています。デジタルPRの基本と戦略に活かすヒントを専門家がお届けします。
今回のポイント
(1)メディアが求めるのは客観的なデータ
(2)社会性・時事性など8つの視点を意識しよう
(3)イラストなどを活用、コンテンツ力で一工夫
PR TIMESでは1カ月あたり、1万本を超えるリリースが配信されています(2019年4月単月の場合)。そのうち、常に一定数が配信されるジャンルとして確立されているのが「調査リリース」です。マーケティングリサーチ会社が時事性・季節性の高い切り口で調査結果をまとめているケースのほか、事業会社が調査主体となって自社の事業や商品・サービスに何らかの形で紐づいたテーマが設定されている場合が多いです。
メディアは「前年比」に注目
例えば近年、話題になった案件でいえばポーラによる「ニッポン美肌県グランプリ」があります。2012年にスタートしたもので、47都道府県別に女性の肌データを分析しています。最新の調査では、2018年11月に「島根県が美肌県1位」といった結果を発表していました。同じく地域性に着目した調査としては、オールインワン化粧品などを扱うメディプラス(東京・渋谷)が2016年から発表してきた「ストレスオフ県ランキング」も話題に上ることが増えました。
これらの調査が多くメディアに取り上げられている要因として、継続的に調査を実施し公表しているという点があります。報道する側は単発の調査よりも、データの前年からの推移を読み取ることができる調査を歓迎します。その変化から時事的・社会的な意味を見出し、仮説を立てるからです。
2つの調査に共通しているポイントとして、「47都道府県」を比較しているという点も挙げられます。特に、「県民性」はコンテンツとして分かりやすく、SNSでシェアされやすいことも特徴です。
前述の2社はコア事業である化粧品やスキンケアに結びつくテーマを扱ってはいますが、直接的な販促のためというわけではない点も公共性の高い調査として取り上げられる要因となっていると思います …