110周年を迎えた味の素が社名にも冠するうま味調味料「味の素」だが、“健康に悪い”という誤ったイメージを持つ生活者が多いのが長年の悩み。これを払しょくしようと、2018年から世界規模の啓発活動が動き出した。
「味の素」といえば日本では、いわゆる化学調味料、すなわち身体に悪いもの、というイメージを持つ人も多いかもしれない。もしくは、「無添加」「化学調味料不使用」の表示がある商品を、積極的に購入するよう意識している人がいるかもしれない。
「味の素が安全でないというのはまったくの誤解ですし、無添加は体に良く、添加は体に悪いと想起させる表示は生活者の優良誤認を招いています」と話すのは味の素広報部長の栢原紫野氏。同社はこの問題で長年風評被害に苦しんできたが、2018年9月に米ニューヨークで開いたキックオフイベントを皮切りに、総予算約10億円のグローバルプロジェクトをスタートさせた。
きっかけは「中華料理店症候群」
世界初のうま味調味料である「味の素」は、1909年に同社の創業とともに発売された看板商品。東京帝国大学の池田菊苗博士が発見した「うま味」は甘味・酸味・塩味・苦味と並ぶ基本五味のひとつだ。このうま味を商品化したものがうま味調味料(グルタミン酸ナトリウムまたはMSG)である …
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