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「ものづくり」技術と広報

廃業寸前から売上20倍に 顧客の心をつかむ展示会の必勝法

DG TAKANO

    ポイント(1)

    商品の効果を「体感」させる

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    1~2カ月に1回は参加している各地の展示会。大規模なものでは、1日に1000人近くの顧客と名刺交換ができ、貴重な顧客リスト獲得につながっている。

    高野雅彰社長

    展示会では実際に水を流すデモンストレーションをします。集客で同業他社に負けたことはありません!

蛇口に取り付けるだけで約9割の水を節水することができる「バブル90」を開発・販売するDG TAKANO(大阪・東大阪)。脈動流を噴出させることで、水の勢いを変えることなく、水の使用量を抑えることができるのが特徴だ。発展途上国を中心に人口が大幅に増加し、世界の水不足が深刻化する中、解決の一助になるのではと国内外から注目を集めているものづくりベンチャーだ。

今年3月には『がっちりマンデー‼』(TBS)やニュースサイト「週アスPLUS」などに取り上げられ、数日にわたってYahoo!の急上昇ワードでトップになるなど話題に。1点数万円と高額なためBtoB向けがメインだが、一度付けたらメンテナンスは不要。数カ月で設置費用分の元が取れるとあって、大手外食チェーン「PRONTO(プロント)」や「テング酒場」など、続々と導入が進んでいる。しかし、世界と比べて水資源が豊富な日本。販路開拓への道のりは平坦なものではなかったと高野雅彰社長は振り返る。

ベンチャー企業初の大賞受賞

高野社長は東大阪にある金属加工工場の3代目として育った。ある日、節水業界にものづくり企業が参入しておらず、販売されている節水用品はどれも単純な構造の割に、高価で販売されていることに気づいた。そこで、「もっといいものをつくれば必ず勝てる」と参入を決意。幾度も試作を繰り返し、2009年に「バブル90」が誕生した。

最初の転機となったのは、2009年に日刊工業新聞主催の「“超”モノづくり部品大賞」に応募したことだ。毎年、東芝やパナソニックなど、名だたる大手企業が受賞する中、バブル90がベンチャーとして歴代で初めてグランプリを受賞。日刊工業新聞の一面に大きく掲載された。

問い合わせも急増し、翌年にDGTAKANOとして正式に株式会社を設立する。

しかし、ここから先が長かった、と高野社長は振り返る。「販路開拓までには苦しみ続けました。ものづくりベンチャーは莫大な初期投資がかかるので、それを回収しきれないまま倒産しまうところは多いです。『“超”モノづくり部品大賞』を受賞したとはいえ、無名のベンチャーだった当社では目に留めてもらえませんでした」。

廃業寸前に追い込まれた高野社長に2011年、二度目の転機が訪れる。顧問弁護士を通じて知り合った、あるベンチャー企業の経営者がその性能の高さに魅せられ …

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