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戦略的に「買いたい」をつくった成功事例10選

人流復活を見込んだ学生向け什器制作が大成功 売り場の滞在時間を最大化するメカニズムとは

加賀美洋介氏(三菱鉛筆)、織田萌実氏(大日本印刷)

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三菱鉛筆が展開するシャープブランド「クルトガ」と「アルファゲル」。2008年に発売されたクルトガは、中学生を対象とした自社の調査で認知率100%という驚異的結果を打ち出したこともあるロングセラーブランドだ。今回、同社は両商品を同時展開する店頭什器を制作。担当した三菱鉛筆の加賀美洋介氏と、大日本印刷の織田萌実氏に、制作の裏側を取材した。

学生に向けて、キャッチーな印象を与えられるように「クルトガ」「アルファゲル」をそれぞれ擬人化したイメージキャラクター「トガールくん」「げるるくん」を作成し、にぎやかな印象に。

学生ファーストの什器制作「推し」「参加型」がキーワード

―制作した什器について詳しく教えてください。

加賀美:今回の什器は、当社から発売している2種類のシャープの販売促進を行う目的で導入されました。対象となったのは、やわらかいゲルグリップが特徴の「アルファゲル」と、芯が回ってトガりつづける「クルトガ」シリーズです。

商品のメインターゲットは学生であるため、新学期前の購入ニーズや、夏休み期間中の販売タイミングに合わせられるよう、2022年8月の店頭展開を目指しました。

織田:実施までの過程を振り返ってみると、企画の骨子を検討したのは2022年の初頭から約半年間です。アウトプットとする具体的なデザイン制作まで行いました。

ただ単に製品特性を列挙した什器にするだけでは、その魅力は十分に伝わりません。さらに、ターゲットとなる学生の多くは、日々SNSやWebから膨大な情報を取得している世代。だからこそ、まずは一目で商品理解を促すことができる什器にしようと、2つの商品を対立させた「あなたの推しはどっち?!」という展開アイデアが採用されました。問いかけをクルトガかアルファゲルの2択にしたことで、より簡単に商品選択を行えると考えたのです。

制作にあたり、まず初めに考えたのは什器のコンセプト設定でした。近年「推し活」という言葉が多く聞かれるようになりましたよね。そこで、ターゲットの学生たちが身近に感じる“推し”というワードを使用した企画で、商品に触れ合う体験をつくり、選ぶ楽しさを味わってもらおうと試みました。その結果、企画のアウトプットとして仕上げたのが、「推しシャープ」。文具売り場には書き心地を試せるコーナーが必ずと言っていいほど設置されています。その体験も活かして、実際に商品を試した後に、より自分好みの商品を見つけられることをサポートするためにも、「投票」という形を決めました。

加賀美:推しシャープを決めるための診断項目は、テスト勉強・制服・和菓子に関する3つの質問です...

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