オンラインコマースの普及が進む中、単に商品情報を提供するのではなく、コンテンツ発信とECを組み合わせたメディアコマース「B印MARKET」が注目を浴びている。企画背景や運用の裏側を、企画チームとビームススタッフのHeg.さんに聞いた。
「B印MARKET」は、ビームスが展開するメディアコマース。コンテンツを発信するのは店舗で活躍するスタッフが中心だ。展開されるコンテンツの目玉は、大きく2つ。ひとつは、店舗スタッフやゲストらが、商店のオーナーとしてキュレーションしたプロダクトやサービスを提案する「個人商店」。そしてもうひとつが、スタッフの実体験をもとにベストアイテムを紹介する「B印 MARKET AWARD」だ。
2022年2月にスタートした「B印MARKET」は、コロナ禍で休業を余儀なくされる中で構想された。「B印MARKET」の企画に、プロデューサーとして参画した佐藤嘉紀氏は、当時を次のように振り返る。
「コロナ禍ではデジタル接客に舵を切るなど、運営体制には大きな変化がありました。徐々にオンラインでの売上が伸長する中で明らかになったのは、オンライン売上の半数以上がECサイト内でスタッフによって展開されるコンテンツ経由で生まれていることでした。そこで企画されたのが『B印MARKET』。コロナ禍のデジタルシフトが、店舗では難しかったスタッフ個々の視点から生み出される情報を届ける場となりうる、同メディアコマースの開始につながったのです」。
さらに、ビームスの強みは、ファッションのみならずインテリア、アウトドア、コスメなど各ジャンルのコミュニティに属しながら、コアな情報を持っているスタッフがいることだ。「彼ら目線のレビューは、情報があふれる世の中で、ビームスならではの切り口をもって商品をおすすめすることにつながるのではないかと思いました」(佐藤氏)。
現在、「個人商店」のオーナーは約20人。そのうちの1人である恵比寿店のスタッフ Heg.氏には、新たなメディアの使い方に考えがあった。「コロナ禍を経て、口コミやレビューを見て商品を購入するお客さまが一気に増えました。そのため、店頭での接客もこれまで同様に商品説明を行うだけではなく、使用感を伝えることが必要になったと思います。その上で、『B印MARKET』の運営で大切したかったのは、アイテムに対する本音を語れる場にしたいということ。『個人商店』は偏愛するアイテムを紹介する場なので、不便な部分も含めて商品への愛着を発信する場として活用しています」(Heg.氏)。
多彩な商品群と交流する場 購入の一歩手前を狙う理由
「B印MARKET」では、そのコンテンツから売上を...